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なぜ文庫化されなかった?ヘミングウェイ『河を渡って木立の中へ』新潮文庫でついに登場


アーネスト・ヘミングウェイの長編小説『河を渡って木立の中へ』が、3月28日に新潮文庫から刊行された。本作は、ノーベル文学賞とピューリッツァー賞を受賞した『老人と海』の前年に発表された作品でありながら、長らく文庫化されることがなかった。

ヘミングウェイは『日はまた昇る』『武器よさらば』などの名作を世に送り出し、その作風で世界的に評価を確立した。第二次世界大戦後、彼は自身の戦争体験や生と死への思索を投影し、本作を執筆した。

河を渡って木立の中へ(新潮文庫)

河を渡って木立の中へ(新潮文庫)

ヘミングウェイ
940円(03/31 07:56時点)
発売日: 2025/03/28
Amazonの情報を掲載しています

ヴェネツィアでの出会いと執筆の背景

1948年冬、ヘミングウェイはヴェネツィアで運命的な出会いを果たす。トルチェッロ島での鴨猟の帰途、知人を介して18歳の女性アドリアーナ・イヴァンチッチと出会った。彼は彼女に一目惚れし、以降、ヴェネツィアの美しい街並みの中で彼女との関係を深めていく。

この出会いは、彼の創作活動にも大きな影響を与えた。戦争の記憶、死の恐怖、そして年若い女性への愛情を織り交ぜた物語として『河を渡って木立の中へ』が誕生した。

作品内容

物語の舞台は第二次世界大戦後のヴェネツィア。主人公は、末期の心臓病を抱える50歳のアメリカ陸軍大佐リチャード・キャントウェル。彼は若き貴族の娘レナータと刹那の逢瀬を重ねながら、戦争の記憶と向き合う。

レナータは、彼の過去を知ろうと戦争の話を求めるが、キャントウェルが語るのは、激戦の中で自身の判断ミスにより部下を死なせた後悔と苦悩だった。戦争の不条理、老いへの恐れ、そして若き女性への愛情が交錯する本作は、ヘミングウェイ自身の内面を映し出す作品といえる。

作品データ
タイトル: 『河を渡って木立の中へ』
著者: アーネスト・ヘミングウェイ
訳者: 高見浩
発売日: 2025年3月28日
造本: 文庫
定価: 1045円(税込)
ISBN: 978-4-10-210020-2
出版社: 新潮社
URL: 新潮社公式サイト

本作は、ヘミングウェイの文学的探求の一端を示す貴重な一冊であり、ヴェネツィアの美しい風景とともに、愛と死をめぐる物語を描き出している。文庫版の刊行を機に、多くの読者にその魅力が届くことを期待したい。

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