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J-POPの韓国進出加速、世界市場への足がかりに


Jポップ音楽の韓国国内での存在感と、グローバル進出についてKorea Timesが報じている。日本のシンガーソングライター・米津玄師が3月22日、韓国・仁川のインスパイア・アリーナで自身初の韓国公演を開催した。開演前、会場周辺には20代のファンが集結し、熱気に包まれていた。本公演は10月のチケット発売と同時に即完売し、2日間で計2万2000席が埋まるなど、J-POPの韓国市場での存在感を示す結果となった。

米津は2009年にボーカロイドプロデューサーとして活動を開始し、2012年に正式デビュー。作詞・作曲・編曲、演奏、映像制作まで手掛ける多才さで知られる。韓国でもその独特なロック調のポップサウンドが人気を集め、着実にファン層を拡大してきた。

2時間にわたるコンサートでは、「Lemon」や「Lady」「KICK BACK」などのヒット曲を披露し、華やかな映像演出で観客を魅了した。全てのMCを日本語で行ったにもかかわらず、観客は大歓声と大合唱で応えた。米津は「韓国のファンがどう反応するか少し不安だったが、今日という日は生涯忘れられないものになった」と語った。

韓国公演を行った背景には、20〜30代を中心にJ-POPの人気が高まっている現状がある。公演データによると、観客の65%が20代、18%が30代、10.1%が10代だった。昨年以降、Ado、YOASOBI、King Gnu、Official髭男dism、藤井風ら日本の人気アーティストが次々と韓国で単独公演を開催。来月には「あいみょん」が初の韓国公演を行い、5月には優里、さらに中島美嘉もデビュー24年目にして初の韓国公演を予定している。

デジタル時代の変化がJ-POPの追い風に

J-POPの韓国人気は、従来の韓国メディア(テレビ・ラジオ)での露出がほぼないにもかかわらず急速に拡大している。業界関係者は、この現象の背景にメディア消費の変化と日本の音楽業界の変革を指摘する。

かつてJ-POPは主に日本のドラマやアニメを通じて韓国で知られていた。しかし、日本のレコード会社はCD販売の減少を懸念し、ストリーミング配信に消極的だったため、海外ファンがリアルタイムで新曲を追うことは難しかった。

しかし、YouTubeやNetflixの台頭により、J-POPの発信力は大きく変わった。さらに、日本の音楽業界もアイドルグループ中心の体制からバンドやシンガーソングライターの活躍の場を広げつつある。これまで世界第2位の巨大な国内市場に依存していた日本の音楽産業も、K-POPの成功を受け、デジタル戦略を強化する動きが見られる。

立命館大学のK-POP研究者・東アジア近現代史専門家である山本浄邦氏は、「日本の音楽業界の内向きなモデルは、デジタル時代において限界を迎えている。国内市場だけでは成長が見込めないという認識が広がり、より積極的な海外戦略が求められている。K-POPの体系的なトレーニングシステム、多言語コンテンツ、SNSを活用したファンダム形成が、日本の音楽業界にも影響を与えている」と分析する。

K-POPシステムを取り入れる日本のアイドルグループ

ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)の影響力が低下する中、日本のレコード会社は韓国市場への関心を強めている。日本の大手レーベル・エイベックスは2022年に韓国でガールズグループ「XG」をデビューさせ、今月27日にはボーイズグループ「ONE OR EIGHT」を韓国で発表した。

さらに、日本最大手の通信会社NTTドコモも、エンターテインメント子会社を通じてガールズグループ「Cosmosis」を韓国でデビューさせた。

これらのグループはK-POPの要素を取り入れつつも、韓国市場に慎重な姿勢を見せている。関係者によれば、その理由は韓国が最終目標ではないためだという。

「ONE OR EIGHT」のメンバー・Neoは記者会見で「K-POP、J-POP、そして欧米の音楽から影響を受けながら、自分たちらしい音楽を作りたい。目標は世界ツアーだ」と語った。

山本氏は「日本の音楽レーベルが韓国でグループをデビューさせる理由は、韓国市場そのものが最終目標ではなく、K-POPシステムを経ることで国際的な成功の証明となるからだ。韓国は目的地ではなく、世界進出のためのゲートウェイなのだ」と指摘する。

J-POPのグローバル戦略において、韓国市場は今後ますます重要な役割を果たしていくと考えられる。

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