NHKの連続テレビ小説「あんぱん」が始まった。第1週のタイトルは「人間なんてさみしいね」。物語の冒頭、「正義は逆転する」というテーマが提示され、アンパンマン風のキャラクターが実写空間に飛び込む演出が印象的だ。ひっくり返らない正義とは何か、それは「一切れのパンを届けること」だという。
主人公・朝田のぶ(今田美桜)は、カーテンを開けながら登場する。ちっとも強そうではないヒーローが、それがかえって魅力的だという。空腹を笑顔で語る姿は、彼女の素直さを表している。その相手は柳井嵩(北村匠海)。二人の出会いを幼少期に遡って描く構成になる。
オープニング映像はデジタル空間を駆けるのぶの姿が描かれ、カラフルで温かみのあるビジュアルが印象に残る。物語は昭和2年の高知県御免予町に遡る。幼少期ののぶ(永瀬ゆずな)が町を駆け抜け、機関車と競争するシーンが映し出される。地元では、男勝りの女性を「はちきん」と呼ぶようで、のぶはそう呼ばれている。
一方、幼少期の嵩(木村優来)は引っ越してきたばかり。駅でのぶとぶつかり、「気ぃつけや、ボケ」とのぶが言い放つ。この言葉がのぶの快活な性格を象徴している。のぶは父・結太郎(加瀬亮)を迎えに来ていた。
のぶの家は商店街で石材屋を営んでおり、彼女は長女として二人の妹とともに暮らしている。父の大阪土産を嬉しそうに開ける3姉妹の姿が微笑ましい。
一方、柳井寛(竹野内豊)の家に身を寄せる嵩と母・登美子(松嶋菜々子)。寛は嵩の叔父にあたる。母は「他に頼る人がいない」と語る。柳井家には、すでにちひろという少年(中沢元紀)が暮らしていた。彼は幼い頃からこの家で育ち、東京の記憶はないという。嵩とちひろの関係も今後の物語に影響を与えそうだ。
嵩は小学校に編入するが、標準語を話す彼はからかわれ、さらには弁当を奪われるといういじめに遭う。しかし、のぶがいじめっ子を追い払い、弁当を取り返す。この時のぶが「お前、本当に男か」と罵る場面があり、「はちきん」ぶりを見せつける。
嵩は、自分で描いた家族の絵を見つめ、「こんなところに来たくなかった」とつぶやく。そんな彼に屋村草吉(阿部サダヲ)が「腹減ってるな? ついて来い」と声をかける。
のぶは、嵩の父が病気で亡くなったことを知り、先ほどの言葉を後悔する。彼に謝りに行こうと柳井医院を訪れると、屋村草吉からパンを受け取る嵩の姿を目にする。そしてのぶは、「こんな美味しそうな食べ物を初めて見た」と思う。
ここに、アンパンマンの原点があるのか。
第一話は、主人公2人の出会いの日から。「はちきん」なのぶと大人しそうな嵩がどういう風に仲良くなっていくのか、序盤はそれが焦点になりそう。昭和2年の高知県の暮らしぶりの描写にも注目したい。
朝田 のぶ/今田 美桜
朝田 のぶ[幼少期]/永瀬 ゆずな
朝田 結太郎/加瀬 亮
朝田 羽多子/江口 のりこ
朝田 蘭子/河合 優実
朝田 メイコ/原 菜乃華
朝田 釜次/吉田 鋼太郎
朝田 くら/浅田 美代子
屋村 草吉/阿部 サダヲ
原 豪/細田 佳央太
柳井 嵩/北村 匠海
柳井 嵩[幼少期]/木村 優来
柳井 登美子/松嶋菜々子
柳井 清/二宮 和也
柳井 寛/竹野内 豊
柳井 千代子/戸田 菜穂
柳井 千尋/中沢 元紀
宇戸 しん/瞳水 ひまり
黒井 雪子/瀧内 公美
小川 うさ子/志田 彩良
山下 実美/ソニン
辛島 健太郎/高橋 文哉
座間 晴斗/山寺 宏一