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朝ドラ『あんぱん』第2話感想|阿部サダヲが“ジャムおじさん”に?『あんぱん』第2話で謎のパン職人が魅せる優しさ


朝ドラ「あんぱん」第2話レビュー

パンのぬくもりがつなぐ、よそ者たちの心

NHK朝の連続テレビ小説『アンパン』第一週第2話では、ふわふわのパンがひとつの鍵となり、登場人物たちの関係が少しずつ動き出す様子が丁寧に描かれた。

阿部サダヲ演じる謎のパン職人・屋村草吉が焼くパンをめぐって、物語がふんわりと膨らみ始める。草吉の焼くパンは、幼いのぶにとって初めての「こんなに美味しいもの」。その感動は、「ほっぺで落ちるかと思った」という素朴な感想に凝縮されていた。パンという日常的な食べ物が、のぶにとっては非日常の輝きを放っている。このパンのぬくもりが、彼女を取り巻く環境や心の在り方をじわじわと変えていく予感がする。

一方、柳井嵩は、転校してきたばかりで「よそ者」として周囲と距離を置かれている。彼は学校でひとり弁当を食べるが、空腹の同級生に弁当を差し出すという行動に、心のやさしさがにじむ。お腹をすかしている子どもに食べ物を差し出すというのは、まるで、アンパンマンのようだ。いじめっ子に対してはのぶがしっかりと立ち向かい、前話でのぶ自身が発した「東京に帰れ」という言葉への謝罪へとつながる。のぶと嵩の距離も、確実に縮まりつつある。

草吉との交流も印象的だ。嵩が描く絵に声をかける草吉。よそ者同士、どこか通じ合うものがあるのだろう。草吉が何者なのか、なぜ美味しいパンを焼けるのか、というのぶの問いは、彼に対する純粋な好奇心と憧れの現れだ。嵩が語る「銀座のパン」の話を聞いたのぶが、山の向こうを見つめるシーンは、彼女の中に芽生えた新たな夢のはじまりを象徴している。草吉を「ヤムおんちゃん(ジャムおじさん?)」と呼ぶ。彼がジャムおじさんのモデルなのか。しかし、阿部サダヲがその役にぴったりだ。うさんくさいけど、優しいおじさん役がはまっている。

そして、のぶの父・結太郎(加瀬亮)が語る「アメリカやイギリスに負けない会社を作る」という言葉は、時代の空気と夢の重みを感じさせる。そんな父がのぶに語る「女の子も大志を抱け」というメッセージは、未来へのエールであり、物語全体の指針とも言えるだろう。のぶは「銀座でパンをお腹いっぱい食べるのが夢」と笑顔で語る。

パンの温かさが人の心をほどき、夢を育む。そして食べ物を分け合うのが正義という、本作が目指すテーマのひとつが、この第2話では確かな輪郭を帯びはじめた。よそ者たちがつながり、互いの孤独に寄り添い合う、その過程を見守りたくなる2話であった。

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登場人物

朝田 のぶ(今田 美桜)
朝田 のぶ[幼少期](永瀬 ゆずな)
朝田 結太郎(加瀬 亮)
朝田 羽多子(江口 のりこ)
朝田 蘭子(河合 優実)
朝田 メイコ(原 菜乃華)
朝田 釜次(吉田 鋼太郎)
朝田 くら(浅田 美代子)
屋村 草吉(阿部 サダヲ)
原 豪(細田 佳央太)
柳井 嵩(北村 匠海)
柳井 嵩[幼少期](木村 優来)
柳井 登美子(松嶋菜々子)
柳井 清(二宮 和也)
柳井 寛(竹野内 豊)
柳井 千代子(戸田 菜穂)
柳井 千尋(中沢 元紀)
宇戸 しん(瞳水 ひまり)
黒井 雪子(瀧内 公美)
小川 うさ子(志田 彩良)
山下 実美(ソニン)
辛島 健太郎(高橋 文哉)
座間 晴斗(山寺 宏一)