2024年度音楽メディアユーザー実態調査の報告書(公表版)が発表された。本調査は、12歳から69歳までの男女50,000名を対象としたスクリーニング調査と、一般セル4,500名を対象とした本調査をインターネットにて実施したものである。調査期間は2024年12月6日から12月12日までとなっている。本稿では、報告書から明らかになった音楽メディアユーザーの最新動向について速報としてまとめる。
音楽との関わり方の変化:無関心層の増加と有料聴取層の底堅さ
報告書によると、この半年間の音楽との関わり方について、「無関心層」が2024年には+2.4ポイントと増加傾向にあることが示された。一方で、20代から30代にかけては「有料聴取層」が増加しているものの、大学生の無関心層の増加も注視する必要があると指摘されている。これは、将来的な20代の有料聴取層の減少に繋がる可能性を示唆している。
音楽の聴取方法:定額制配信サービスの利用が拡大
音楽の聴取方法においては、「定額制音楽配信サービス」の利用が昨年より+4.5ポイント、「インターネットテレビ」が+4.7ポイントと大きく増加した。全体的な傾向としては大きな変動は見られなかったものの、調査選択肢の調整や例示の追加が影響している可能性も考慮する必要がある。
性年代別に見ると、若年層ほど各種SNSで音楽を楽しんでいる割合が高く、特に「TikTok」「Instagram」「YouTubeショート」などのショート動画関連サービスでその傾向が顕著である。一方、「定額制音楽配信サービス」と「音楽CD」の利用には逆の傾向が見られる。
音楽への関心別に見ると、有料聴取層、無料聴取層に関わらず「YouTube(YouTubeショートを除く)」の利用率が高い。しかし、有料聴取層では「定額制音楽配信サービス全体」が「YouTube(YouTubeショートを除く)」との差を縮めてきている。
音楽への支出:全体として微増、リアル関連サービスの増加も
音楽への支出額全体としては、昨年から大きな変動はないものの微増している。内訳を見ると、「定額制動画配信サービス」「定額制音楽配信サービス」「有料音楽配信サービスでのダウンロード」に加えて、「カラオケ」「アナログレコード購入」「CDレンタル」といったリアルに関連するサービスの支出も増加している。
定額制音楽配信サービスの利用者層を見ると、20代が最も多く全体の約3割を占めている。一方で女性の割合が全体的に減少傾向にあり、40代~50代での利用促進が今後の課題と考えられる。
違法音楽アプリの利用状況:依然として低い水準
無料音楽アプリ・サービス利用者ベースでの違法音楽アプリの利用率は昨年と同様2.0%であった。しかし、20代女性の割合が特に増加している点が注目される。
今後の利用意向:「コンサート、ライブ」への期待が高い
今後の利用意向について尋ねたところ、最も多かったのは昨年に続き「コンサート、ライブ、演奏会、音楽イベント、ミュージカルなど」であった。また、「定額制音楽配信サービス」(昨年度+4.8pt)「定額制動画配信サービス」(昨年度+4.2pt)の利用意向が増加し、「音楽ビデオ」を上回った。
フィジカル商品の購入:若年層ほど購入率が高い傾向
フィジカル商品の購入率を見ると、各商品で若年層ほど購入率が高い傾向がある。特に「音楽CD(新品)」では年代ごとの差が比較的少ない。
今回の調査結果は、音楽メディアを取り巻く環境が依然として変化しており、ユーザーの聴取行動や消費行動も多様化していることを示唆している。今後の動向について、引き続き注目していく必要があるだろう。
ソース:一般社団法人 日本レコード協会