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文化庁、著作権情報一元検索システム構築へ 令和8年度運用開始目指す


文化庁は、文化芸術分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を背景に、著作物の利用円滑化と権利者への適切な対価還元機会の増加を目指し、分野を横断して著作物の権利関連情報を検索できる「分野横断権利情報検索システム」(以下、「本システム」)の構築に向けた調査研究を実施した。令和7年3月には、その成果をまとめた報告書がウルシステムズ株式会社より公表された。本システムは、令和8年度の運用開始を目指し、検討が進められている。

背景と目的

近年、著作物の利用においては、権利者への連絡や許諾を得るための探索作業に時間を要する現状がある。また、令和5年に成立した著作権法の一部を改正する法律により創設された未管理著作物裁定制度においても、その手続きの効率化が求められている。このような状況を踏まえ、文化庁は、簡素で一元的な権利処理方策の実現が喫緊の課題であると認識し、本システムの構築を計画した。本事業は、未管理著作物裁定制度の内容も考慮しつつ、著作物の円滑な利用と権利者への正当な対価還元に資するシステム構築のための調査研究であり、システム企画及び要件定義が行われた。

令和5年度事業からの進展

本事業は、昨年度実施された文化庁委託事業「令和5年度分野横断権利情報検索システムに関する調査研究」の調査結果を踏まえて実施された。令和5年度事業で明らかになった課題や、想定される利用者ニーズ、権利者探索の現状、システム構築にかかるコストなどを総合的に考慮し、本システムのシステム企画及び要件定義の検討が進められた。

関係者との協議と意見交換

システム企画及び要件定義の検討にあたっては、意見集約と情報収集のため、関係者協議会が全2回開催された。協議会には、弁護士、著作権関連団体の顧問や代表理事、研究員、事務局長、企業アドバイザーなど、多岐にわたる分野の専門家が参加し、システムの企画内容や画面イメージについて活発な意見交換が行われた。また、著作権等管理事業者をはじめとする関係団体に対しては、本システムの事業背景や目的、システム概要について説明する関係団体説明会が全2回開催され、団体情報の提供依頼やシステム連携に関するアンケートなどが実施された。

システムの概要と機能

本システムは、著作物等の利用許諾のための権利者探索作業において、利用場面や著作物等のカテゴリーを指定し、関係団体やデータベースを特定し検索することを目的とする。システムでは、団体マスタ登録の内容が表形式で表示され、著作物等のカテゴリー、サブカテゴリー、利用場面などのキーワードで団体情報の絞り込みが可能となる。また、各団体のウェブサイトへのリンク表示や、利用状況に応じたインストラクション表示機能、問い合わせ機能、FAQ表示機能、アンケート機能、お知らせ表示機能などが実装される予定である。

今後の展望

報告書では、令和4年度に提案された分野ごとのデータベースとの連携によるメタ検索という構想に対し、システム構築コストや関係団体との連携コスト、各分野の権利情報集約化状況などの課題が明らかになったことが言及されている。そのため、令和8年度の運用開始時点では、継続的に利用者の意見を収集し、システムの改善に反映させる方向性で各種要件定義が実施された。今後、本報告書に基づきシステムの構築が行われることになるが、関係団体との調整が不可欠である。文化庁は、関係団体の協力を得ながら、本システムの構築作業を進め、令和8年度春頃に予定されている未管理著作物裁定制度の施行に向けた環境整備を進めていく方針である。本システムの活用が、著作物の利用の円滑化と権利者への適切な対価還元機会の増加に繋がるものと期待される。

ソース:https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/chosakuken/pdf/94193401_01.pdf