アメリカの映画メディア、deadlineが東映の吉村文雄代表の独占取材記事が掲載されている。日本の大手映像制作会社・東映株式会社が、総額20億ドル(約3,000億円)におよぶグローバル展開戦略を始動させた。歴史あるスタジオのトップに立つ吉村文雄社長兼CEOは、ハリウッドとの連携やアジア市場との共同制作などを柱とした大規模な国際戦略を明かした。
「内需頼み」からの脱却へ
東映は『仮面ライダー』『スーパー戦隊』『パワーレンジャー』といった特撮シリーズや、ヤクザ映画、時代劇など多様なジャンルで70年以上にわたり映像制作を続けてきた。映画4,400本、テレビドラマ39,000話以上のライブラリを持ち、近年は『【推しの子】~ファイナルアクト~』や入江悠監督による時代劇アクション『室町無頼』などを公開している。
吉村氏は「かつては日本国内の市場規模が大きく、海外進出の必要性を感じなかったが、人口減少の時代に入り、今こそ新たな戦略が必要」と語る。
アジアと北米を重点市場に
東映は今後、アジアおよび北米を最優先市場として海外展開を進める。アジアでは現地コンテンツの成長が著しく、文化的にも近いため、協業の可能性が高いと見ている。一方、北米については「市場規模が極めて大きく、現地と共同制作を通じて橋をかけていきたい」としている。
今後の国際プロジェクトとしては、日本の武士階級誕生期を題材にした『ゲーム・オブ・スローンズ』風の大作時代劇シリーズや、ニューヨークを舞台にした米・日・台湾による共同映画、日本とアフリカによる異例の共同制作も企画中である。また、50年ぶりとなる新たな海外向けスーパーヒーローキャラクターも開発中だ。
海外収益50%を目指す
同社の長期ビジョン「Toei New Wave」(2023年策定)では、コンテンツ制作に160億ドル、ビジネス基盤強化に40億ドルを投資する。2033年までに海外売上比率を現在の30%から50%に引き上げることを目標としている。
特撮・アニメIPの活用と慎重なリメイク戦略
東映は、国内外で根強い人気を持つ『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』といった特撮IPのさらなる展開にも注力する。一方で、過去に日本のアニメを原作としたハリウッド実写作品が国際的に失敗した例もあることから、リメイクには慎重な姿勢を示している。
『ワンピース』のNetflix実写版の成功は例外とされるが、これは原作者・尾田栄一郎氏が制作に深く関わったことが成功の鍵となった。東映としても、複雑なライセンス問題を含め、国際的なパートナーと円滑に協業できる体制を整えている。
中国・韓国との共同制作も視野に
すでにフィリピンGMAネットワークと『ボルテスVレガシー』を共同制作するなど、アジア各国との連携も進めている。中国では『THE FIRST SLAM DUNK』が9,000万ドルの興行収入を記録しており、今後は現地制作の中国コンテンツとして認識されるようなIP開発にも取り組む。
また、韓国のCJ ENMとは2021年に戦略的パートナーシップを締結しており、アニメ・実写双方での協業を進める考えだ。
技術投資とインフラ整備も本格化
同社は東京と京都に所有するスタジオおよびポストプロダクション施設の強化にも注力する。東京スタジオには270度のバーチャル撮影ステージを設置し、さらに360億円を投じてVFX、AI、デジタルヒューマンなどの最新技術に対応する。
また、映画館チェーン「T・ジョイ」(全国23サイト・230スクリーン)では、ライブコンサートのストリーミング上映やゴーグルを使ったインタラクティブ体験など、映画館の新たな価値創出にも取り組む。
世界と共に学び、成長する日本のエンタメ
吉村氏は「日本は長年のデフレ環境により、低予算で高品質な作品を生み出すスキルを磨いてきた」と述べ、「今後はハリウッドなどの海外スタジオと組み、大規模コンテンツの制作ノウハウを学びながら、われわれの知見も提供していきたい」と語った。
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