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アジアでショートドラマが急成長、月間アクティブユーザー1億5,000万人超


アジア地域において、60~90秒程度の短編映像作品「ショートドラマ」を提供するアプリが急成長している。調査会社Omdiaの最新レポートによれば、2025年2月時点で、アジアの主要なショートドラマアプリ5本の合計月間アクティブユーザー数(MAU)は1億5,000万人を突破したという。

爆発的な成長を見せるアプリ群

特に中国発のアプリ「Dramabox」「Reelshort」「Shortmax」「Goodshort」などが成長を牽引しており、その人気は中国国内にとどまらず、フィリピン、インドネシア、ブラジル、さらにはアメリカにも広がっている。たとえばDramaboxのアプリストア収益は、2023年の800万ドルから2024年には2億1,700万ドルへと急増。Shortmaxに至っては前年比3,888%という驚異的な成長率を記録した。

アジア市場での映像消費の新潮流

ショートドラマは、制作費が比較的安価で、制作期間も短いため、成長が鈍化しつつある動画・配信市場において新たな収益源として注目を集めている。中には、AIを活用してさらなるコスト効率を追求する制作会社も登場している。

Omdiaは、アジア、とりわけ中国におけるショートドラマの台頭を「新たな動画消費の主軸」として位置づけており、2024年には中国国内で10億人を超えるショート動画ユーザーのうち、6億6,200万人がマイクロドラマ視聴者であると推計している(中国インターネット情報センター調べ)。

規制強化とプラットフォーム戦略の両面が進行

一方で、急速な拡大に伴い、内容に対する懸念も浮上している。中国の規制当局は2024年12月、バイトダンスが支援するショートドラマ配信プラットフォーム「紅果(Hongguo)」に対し、倫理基準に反するコンテンツを理由に5日間の新規配信停止を命じた。その後、同社は130本のショートドラマを自主的に削除している。

大手プラットフォームはコンテンツ制作との連携を深めており、たとえばテンセントビデオは、自社のクラウド技術を通じて制作支援や収益モデルの提供、著作権保護などを行っている。シンガポール拠点のViddseeも、2024年10月に東南アジア市場向けのショートドラマ制作計画を発表している。

多様化するマネタイズ戦略

ショートドラマアプリの収益モデルは、従来の配信サービスに比べて柔軟性が高いのが特徴だ。冒頭数話を無料で提供し、以降の視聴には広告視聴、サブスクリプション、または1話ごとの課金で対応する。さらに、アプリ内通貨(コイン)を用いた視聴も普及しており、ログインやSNS連携、アプリ内滞在時間に応じた報酬など、ユーザーの「滞在」と「継続」を促す仕組みが構築されている。

韓国でも急成長、エンタメアプリの主流に

韓国もまたショートドラマの成長市場である。配信サービス「TVING」は2024年12月、モバイル最適化された縦型ショート映像専用セクションを開設し、プロ野球やバスケットボールのハイライトに加え、独自のマイクロドラマ制作も本格化させる計画だ。「WATCHA」も同年9月に「Shortcha」という専門サービスを開始し、韓国・中国・日本・米国などの作品を取り扱っている。

また、ゲーム会社の参入も進んでおり、インドのNazara Technologiesは25万ドルを出資して「ReelSaga」に3.57%の株式を取得。韓国では「PUBG」開発元のKRAFTONが、短編映像プラットフォーム「Vigloo」運営のSpoonlabsに9,000万ドルを投資している。

今後の展望

Omdiaは、今後ショートドラマ領域で広告収益の増加が期待されるとし、通信会社によるデータ通信とのバンドル施策も増えると予測する。たとえば、インドネシアのTelkomselは「FlexTV」と呼ばれるマイクロドラマとのバンドルサービスを提供している。

Sensor Towerのデータによれば、2025年のエンタメカテゴリにおけるアプリダウンロード上位のうち20%がショートドラマアプリであり、Dramabox、Shortmax、Microdrama、Reelshort、Flickreelsなどが含まれている。主要5アプリのMAUは、2023年末から2024年末にかけて前年比5,848%という驚異的な成長を遂げた。

今後も、ショートドラマはアジアを起点に、世界の映像産業に新たな波をもたらす可能性が高い。既存の配信モデルに飽き足らない若年層を中心に、その勢いはさらに加速していくと見られる。

ソース:Asian Micro-Dramas Boom As Top Apps Hit 150M Active Users – Omdia