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トランプ関税、映像業界に波及か?制作費高騰、貿易戦争拡大など懸念広がる


米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日夜(米国時間)に発表した新たな関税措置により、国際的な映画・テレビ業界に動揺が広がっている。

今回の関税は、米国に輸入される「物品」を対象とするもので、映像作品などの「サービス」には現時点で直接の影響は及ばない。しかし、業界関係者の間では、その波及効果や今後の展開に対する不透明感が強まっている。

フランスの映画・テレビプロデューサー協会「ユーロシネマ」の事務局長ジュリエット・プリサール氏は、「現時点では発表内容が曖昧で困惑している」と述べ、業界内でも緊急の話し合いが行われているという。

英ビジネス団体・英国産業連盟(CBI)も声明で「状況は非常に流動的であり、今後数日から数週間でさらなる展開が予想される。企業への影響も拡大する可能性がある」とコメントしている。

新関税は4月5日から適用され、まずすべての物品に対し一律10%の基本関税が課される。この対象には英国、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、サウジアラビア、シンガポールなどが含まれる。さらに4月9日からは国別に上乗せされた追加関税が発動される予定で、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、韓国25%、中国34%、インド26%、台湾32%、タイ36%、ベトナムに至っては45%に達する。

トランプ大統領は長年、米国が物品輸入超過にあることを問題視しており、今回の措置はその是正を狙ったものである。一方で、サービス分野では米国は世界最大の輸出国であり、昨年は約3,000億ドルの黒字を計上している。

映画・テレビ業界関係者が懸念するのは、これをきっかけに貿易戦争がサービス分野にまで拡大する可能性だ。EUやカナダ、オーストラリアなどが報復措置として米国のサービス輸入に関税を課せば、ストリーミングや映画配給もその渦中に巻き込まれることとなる。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「すでに鉄鋼関税に対する対抗措置を準備しており、交渉が失敗した場合に備えてさらなる手段を講じる」と述べ、対応を検討していることを明らかにした。

トランプ政権側も黙ってはいない。2月に発表されたホワイトハウスのメモでは、各国が米国のストリーミングサービスに対して自国制作への出資を義務付けている現状を「不公正な慣行」として指摘しており、これに対する見直し圧力を強める可能性がある。米映画協会(MPA)も、欧州における規制や財政負担について不満を表明している。

また、トランプ氏は1月に「ハリウッド黄金時代の復活」を掲げ、米国の映像制作が海外に流出している現状に警鐘を鳴らしている。近年では、ディズニーの大作『ウィキッド』をはじめ、英国やカナダでの大型ロケが急増している。

欧州や英国の関係者は、米国のスタジオや配信事業者が自国の公的補助制度を利用しながら、自国のルールには従おうとしない点を問題視している。「彼らはヨーロッパでの撮影に公的支援を受けながら、われわれの規制には従おうとしない」との指摘もある。

さらに、関税措置による景気後退への懸念も高まっている。消費者の支出が抑制されれば、映画館やストリーミングサービスへの支出も減少し、業界全体への打撃は避けられない。広告費の減少も予測され、商業放送局や広告型配信サービス(AVoD)の収益低下は、コンテンツ制作への投資に響く。

製作費自体も関税によって上昇することが見込まれ、国際的な映像制作の現場は厳しい局面を迎えつつある。今後の各国政府の対応と、業界の舵取りに注目が集まっている。

ソース:Uncertainty reigns as international film and TV sector digests impact of US tariffs | News | Screen