NHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』第5話は、食べ物と絵が人を元気づけるという、この作品の重要な本質が登場する回だった。
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朝田のぶ(今田 美桜)の父・結太郎(加瀬 亮)の突然の死で終わった前回を受けて、今回は葬式行列のシーンから始まる。のぶは父の死に泣かなかったという。というよりも泣けなかったのだろう。彼女の表情は虚ろだ。
翌日も学校を休むと思われていたのぶは、落ち込んだ姿ながらも学校に来る。心ここにあらずでいつものように元気に走り回ることもない。屋村草吉(阿部 サダヲ)は「今日は走らないのか」というが、いつもと様子が違うことに気づき、柳井嵩(木村 優来)に事情を聞く。彼は何かを自分にできるのではないかと、この時考えただろう。
のぶの家では、のぶの祖父・釜次(吉田 鋼太郎)が結太郎の墓を彫っている。自分の息子の墓を彫らねばならない石材屋の気持ちとはいかばかりか。祖母のくら(浅田 美代子)も食事がのどを通らず、眠れてもいないようだ。柳井寛(竹野内 豊)が往診に来るも、この落ち込みに効く薬は出せない。
嵩と寛は生きることとはどういうことかについて語る。「生きちゅうは、苦しい、でも時が解決して笑うこともできる」と寛は言う。
翌日、父を探しに駅まで来てしまったのぶに、嵩はのぶと結太郎の最後の別れのシーンを描いた絵を贈る。それを見て、のぶはようやく涙を流すことができた。悲しみは涙で流さねばならない、そうしないと人は前に進めない。
そして、家に戻ると草吉があんぱんを持ってきていた。朝田家にあんぱんを振る舞うと、家族はようやく笑顔を取り戻す。くらもようやく食べ物を口にすることができて、「こんな美味いものを食べずに死んだなんて」と悲しみと美味しいあんぱんを口にできた喜びの混じった言葉を吐露する。
美味しい食べ物が人を元気づける。『アンパンマン』の最も重要な部分の原点がここに描かれている。そして、嵩の絵がのぶに涙を流させたことも重要だ。絵とあんぱんがここにつながった。いよいよ、本格的に物語が動き出す。
登場人物
朝田 のぶ(今田 美桜)
朝田 のぶ[幼少期](永瀬 ゆずな)
朝田 結太郎(加瀬 亮)
朝田 羽多子(江口 のりこ)
朝田 蘭子(河合 優実)
朝田 メイコ(原 菜乃華)
朝田 釜次(吉田 鋼太郎)
朝田 くら(浅田 美代子)
屋村 草吉(阿部 サダヲ)
原 豪(細田 佳央太)
柳井 嵩(北村 匠海)
柳井 嵩[幼少期](木村 優来)
柳井 登美子(松嶋菜々子)
柳井 清(二宮 和也)
柳井 寛(竹野内 豊)
柳井 千代子(戸田 菜穂)
柳井 千尋(中沢 元紀)
宇戸 しん(瞳水 ひまり)
黒井 雪子(瀧内 公美)
小川 うさ子(志田 彩良)
山下 実美(ソニン)
辛島 健太郎(高橋 文哉)
座間 晴斗(山寺 宏一)