NHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』第2週「フシアワセさん今日は」の第7話は、悲しい話はなかった。あんぱん作りが本格化していきそうだ。
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釜次(吉田鋼太郎)の事故による右腕骨折という突発的な出来事が、朝田家の生活基盤を揺るがす。これまで何とか持ちこたえていた家計が、いよいよ危機的状況に陥るという現実が、登場人物たちにのしかかってくる。のぶは、そんな状況のなかでも明るさと行動力を失わない。
のぶが学校で孤独に弁当を食べられずにいる姿は胸を打つ。子どもが食事できないシーンというのはつらい。食事という行為が、ただの栄養補給ではなく、人とのつながりや安心感の象徴であることを、このドラマは丁寧に描いている。そんなのぶに、嵩が弁当を分ける場面は、まさに『アンパンマン』の精神──自分の一部を分け与える優しさ──を体現するシーンである。
釜次の怪我に責任を感じた原豪(細田佳央太)が「自分をクビにしてくれ」と申し出る。自分は大飯ぐらいだから、今の朝田家には重荷になると考えたのだ。こういうやり取りがあるから細田佳央太がキャスティングされているのだな。責任感の強そうな、ちょっと気の弱そうな若者役がはまる。しかし、そんなことを言わせてしまった朝田家の大人たちの無力感がつらい。
見かねたのぶは、解決策を思いつく。「あんぱんを焼いて売る」というのだ。ヤムおんちゃんこと草吉(阿部サダヲ)を家につれてくるが釜次は喧嘩腰で認めようとしない。しかも、草吉はこの町を去るという。「人生は思い通りにはならない」とかかっこいいことを言い残して汽車に乗ったかと思いきや、戻って来る草吉。「団子屋に行ってあんこもらってこい、あんこがないとあんぱん作れないだろ」と言い、草吉とのぶのあんぱん作りが始まりそうな予感を残して、今回は終了。
ヤムおんちゃんこと草吉が、朝田家、そして町の希望となるのか。のぶの行動が、家族や周囲の大人たちをどう変えていくのか。小さなあんぱんに託された未来への希望が、視聴者の胸にもほんのりと温かさを灯す回であった。
登場人物
朝田 のぶ(今田 美桜)
朝田 のぶ[幼少期](永瀬 ゆずな)
朝田 結太郎(加瀬 亮)
朝田 羽多子(江口 のりこ)
朝田 蘭子(河合 優実)
朝田 メイコ(原 菜乃華)
朝田 釜次(吉田 鋼太郎)
朝田 くら(浅田 美代子)
屋村 草吉(阿部 サダヲ)
原 豪(細田 佳央太)
柳井 嵩(北村 匠海)
柳井 嵩[幼少期](木村 優来)
柳井 登美子(松嶋菜々子)
柳井 清(二宮 和也)
柳井 寛(竹野内 豊)
柳井 千代子(戸田 菜穂)
柳井 千尋(中沢 元紀)
宇戸 しん(瞳水 ひまり)
黒井 雪子(瀧内 公美)
小川 うさ子(志田 彩良)
山下 実美(ソニン)
辛島 健太郎(高橋 文哉)
座間 晴斗(山寺 宏一)