12歳主演の鈴木唯が“最年少主演女優賞”なるか、注目集まる
第78回カンヌ国際映画祭の記者会見が本日行われ、早川千絵監督の最新作『ルノワール』が、同映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが発表された。
早川監督の作品がカンヌに出品されるのは、長編デビュー作『PLAN 75』に続いて2作連続の快挙である。現時点で、本年度のコンペティション部門に選出された日本映画は本作のみであり、各国の話題作とともに最高賞であるパルム・ドールを競う。
主演を務めるのは、12歳の新星・鈴木唯。彼女が主演女優賞を受賞した場合、これまで最年少での主演男優賞受賞者であった『誰も知らない』(是枝裕和監督)の柳楽優弥(当時14歳)を上回る記録となり、史上最年少、かつ日本人初の主演女優賞受賞という歴史的快挙にも期待がかかる。
『ルノワール』は、2024年6月20日より新宿ピカデリーをはじめ全国で公開予定。鈴木のほか、石田ひかり、中島歩、河合優実、坂東龍汰、リリー・フランキーら実力派キャストが顔を揃える。
物語の舞台は、1980年代後半のバブル経済に沸く日本。夏のある日、11歳の少女・沖田フキの日常が、両親の関係のほころびによって揺らぎ始める。空想好きでマイペースなフキは、さまざまな事情を抱えた大人たちと触れ合いながら、成長の一歩を踏み出していく。
母・詩子を石田ひかり、病を抱える父・圭司をリリー・フランキーが演じ、彼らを取り巻く人々として中島歩、河合優実、坂東龍汰が出演する。
本作は、子どもならではの繊細な感情の揺れを丹念に描きながら、大人たちの人生の不確かさや哀しみも温かな視線とユーモアを交えて浮かび上がらせる。早川監督は「うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に宿る感情に『哀しい』が加わるとき、人は初めて大人になるのかもしれません」と語り、「少女の複雑な感受性と豊かな孤独が、観る人の心に触れることを願っています」と作品への思いを明かした。
主演の鈴木は「フキは不思議な子で、演じるのは大変でしたが、撮影はとても楽しかったです」と振り返り、「少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです」と呼びかけた。石田は「夢のような気持ちで撮影した作品が、いよいよ皆様のもとへ巣立っていきます」と語り、リリー・フランキーも「名作の誕生に立ち会っているような名誉を感じながら撮影に臨みました」と感慨を述べている。
『ルノワール』は、日本、フランス、シンガポール、フィリピン、インドネシアの国際共同製作作品で、2024年7月から9月にかけて日本で、11月には海外で撮影が行われた。
今後のカンヌ映画祭での評価とともに、早川監督が描く新たな世界観、そして若き才能・鈴木唯の躍進に注目が集まる。