フランスで開催される世界最大級のアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭2025」において、制作途中の注目作を紹介する「Work In Progress(WIP)」部門に、湯浅政明監督と片渕須直監督の新作が選出された。
湯浅監督が手がける新作は、アメピピン(ame pippin)としての第一作目となる長編アニメーション『Daisy’s Life』。本作は、交通事故で母親を失った6歳の少女デイジーが主人公。唯一の家族であった母を喪ったデイジーは、叔母の家で眠れぬ夜を過ごす中、窓の外に現れた少女と出会うという物語である。現在制作が進行中で、今回のWIPではその創作過程が披露される予定だ。
また、片渕須直監督の最新作『つるばみ色のなぎ子たち(The Mourning Children: Nagiko and the Girls Wearing Tsurubami Black)』も同部門に登場する。本作は、京都が日本の都であった時代、富士山から煙が立ち上り、日食や彗星といった凶兆が続く中、多くの人々が病に倒れていく様子を描く。混迷の時代を背景に、絶望や不条理を乗り越え、次の世代へと受け継がれる日々の営みと覚悟の物語が綴られている。
WIP部門は、現在制作中のアニメーション作品の制作過程を紹介する企画で、映画祭来場者にとってはクリエイターたちの創作の舞台裏に触れられる貴重な機会となる。湯浅・片渕両監督は、国際的にも高い評価を得ている日本アニメーション界を代表する存在であり、両作品の進捗が世界中から注目を集めている。