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『羆撃ちのサムライ』、第54回日本漫画家協会賞「まんが王国・土佐賞」を受賞――動物表現に圧倒的な描写力


作家エージェント会社・アップルシード・エージェンシーの契約作家である井原忠政が原作・シナリオを担当し、本庄敬が作画を手がけた漫画『羆撃ちのサムライ』(全4巻・リイド社刊)が、第54回日本漫画家協会賞の「まんが王国・土佐賞」を受賞した。公益社団法人日本漫画家協会の公式サイトにて発表された。

羆撃ちのサムライ (1) (SPコミックス)

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本庄敬, 井原忠政
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受賞理由として、「こんなにも限りない愛を持って細密に描かれた動物たちを見たことがありますか?『動物マンガ』の新たな第一人者がここにいる!」と高く評価された。

『羆撃ちのサムライ』は、箱館戦争の敗残兵が北海道の原野で羆(ヒグマ)撃ちとして再起する姿を描いたビルドゥングスロマンである。2021年に原作が発表され、2022年にはリイド社の「コミック乱」で連載開始。以後、全4巻が刊行されている。授賞式は2025年6月に開催予定である。

明治の北の大地で生き直す敗残兵の物語

物語は明治2年、蝦夷地と呼ばれていた北海道が舞台。箱館戦争で敗れた旧幕府軍の伍長・奥平八郎太は、深い森で巨大な羆に襲われたところを、元庄内藩士の猟師・鏑木十蔵とその妻・喜代に救われる。左目を負傷し視力を失った八郎太は、恩人である十蔵のもとで「穴羆猟」を学び、次第に一人前の猟師へと成長していく。

やがて労咳を患う十蔵が世を去るとき、彼は八郎太に妻・喜代との結婚を託す。八郎太は遺志を継ぎ、喜代と共に山での暮らしを続ける中、兄との再会を果たし、自らの生き方に揺れながらも、再び羆との対峙に向かっていく。

日本漫画家協会賞と「まんが王国・土佐賞」について

日本漫画家協会賞は1972年に創設され、プロ・アマを問わず、年齢や性別、国籍を超えて漫画界の優秀作品を表彰してきた。中でも「まんが王国・土佐賞」は、2021年より高知県と鳥取県が協力し、地域と漫画文化の融合を図るべく新設された都道府県知事賞のひとつである。

今回の選考委員長は漫画家・里中満智子が務め、阿部ゆたか、木村直巳、篠原ユキオ、武田一義、永野のりこ、ねもと章子、三田紀房、山根青鬼、マンガナイト代表の山内康裕、マンガ司書のみさき絵美らが選考委員として参加した。

井原忠政の経歴と実績

井原忠政は神奈川県出身。中央大学法学部卒業後、脚本家・小説家として多岐にわたる作品を発表。脚本家としては「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」などに関わり、小説家としては「三河雑兵心得シリーズ」が累計145万部を超えるベストセラーとなっている。他にも『旗本金融道シリーズ』『うつけ屋敷の旗本大家』『人撃ち稼業』などの時代小説作品で人気を集めている。

書籍情報

  • 原作小説『羆撃ちのサムライ』(河出書房新社/2021年7月6日発売、税込913円)

    羆撃ちのサムライ (河出文庫 い 44-1)

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  • 漫画版『羆撃ちのサムライ』(1巻:2022年10月27日発売、リイド社、B6判、200ページ、定価750円)以降、全4巻刊行

自然と人間、時代のはざまに生きる者の苦悩と再生を描き、動物描写でも高く評価された本作の受賞は、時代劇漫画や動物表現の可能性を大きく広げる快挙といえる。