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瀬戸桃子監督『Dandelion’s Odyssey』、第64回カンヌ批評家週間クロージング作品に決定


レッド・シー映画財団らが出資、Miyu Productionsの制作、2026年公開予定

第64回カンヌ国際映画祭・批評家週間(Semaine de la Critique de Cannes)において、瀬戸桃子監督による長編アニメーション作品『Dandelion’s Odyssey(たんぽぽの旅)』がクロージング作品として上映されることが発表された。カンヌ批評家週間で長編アニメーションがクロージング作品に選ばれるのは、2019年にグランプリを受賞した『失くした体』(ジェレミー・クラパン監督)以来、6年ぶりとなる。

本作は、フランス・パリを拠点に活動する日本人監督の瀬戸桃子にとって、初の長編アニメーション作品であり、これまでに高く評価された短編作品『Planet A』『Planet Z』『Planet ∑』に続く新たな挑戦となる。環境問題を根底に据えたエコロジカル・ファンタジーであり、植物や動物が主人公として登場するディストピア世界を舞台に、壮大な冒険譚が展開される。

物語は、核爆発により地球を失った4種の植物――ダンデリオン、バラバン、レオント、タラクサが、宇宙へと放たれ、未知の惑星で新たな安住の地を求めて旅をするというもの。映像表現には、タイムラプス撮影、実写映像、3Dアニメーションを融合させることで、他に類を見ない視覚体験を創出している。撮影は日本からアイスランドにかけて行われ、製作の大部分はフランス国内で進められた。

製作は、フランスのアニメーションスタジオMiyu ProductionsとEcce Films、ベルギーのUmedia Production、ARTE France Cinémaが共同で担当し、さらにフランスのGAN映画財団およびサウジアラビアのレッド・シー映画財団(Red Sea Film Foundation)の支援も受けている。世界販売はフランスの国際映画セールス会社Indie Salesが担当し、同社はフランス国内においてGebeka Filmsと提携して配給を行う。2026年の公開を予定している。

また、アニメーション監督としてギヨンヌ・ルロワ(『トイ・ストーリー』)が、音楽はニコラ・ベッカー(『サウンド・オブ・メタル』)と作曲家カンタン・シルジャックが手がけており、国際的な才能が結集した。

瀬戸監督は本作について、「人間中心主義的な自然観や生物間のヒエラルキーは異質なものだった。植物の繊細さや小ささを拡大して描くことにより、自然に対する新たな視点を提示したい」と語り、さらに「たんぽぽの種子をアクション映画のヒーローとして描くことで、生存と希望の物語を届けたい」と意欲を示した。

製作を手がけたエマニュエル=アラン・レナールとピエール・ボサロンは、「本作はアニメーション技術の可能性を拡張し、現代的な物語を新しい視点から描く試みである。植物の目線から紡がれる壮大な冒険は、すべての世代に響くエコロジカル・ストーリーになるだろう」とコメントしている。

Indie Salesの共同創業者ニコラ・エシュバックとアニメーション部門責任者エレオノール・コールマンも、「宮崎駿作品を思わせる詩的な旅と、鋭い環境への警鐘を併せ持つ本作は、『ミクロコスモス』以来30年の時を経て、今こそ必要とされる作品である」と高く評価している。

第64回カンヌ批評家週間は、現地時間で2025年5月14日から22日まで開催される。応募総数1000本超の中から選出された11本の作品が上映され、オープニング作品はローラ・ワンデル監督による『Adam’s Interest(英題)』、審査員長は『理想郷』のロドリゴ・ソロゴイェンが務める。

ソース:Saudi-supported film ‘Dandelion’s Odyssey’ heads to Cannes Critics’ Week
Indie Sales Boards Momoko Seto’s ‘Dandelion’s Odyssey’
Dandelion’s Odyssey – Indie Sales