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「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 」でシャアとシャリア・ブルが飲んでいるワイン【ボルドーの左岸】とは?他のフィクションでどう使われてる?


『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 』第2話は、U.C.0079時代の物語が紡がれる。先行上映だった劇場版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』で、シャアがガンダムに乗り込むという、IFの物語が展開したことに驚きがあったわけだが、本放送では、そのエピソードを2話に持ってくる構成となっている。

ただ、劇場版と全く同じではなく、いくつかのシーンがカットることになった。しかし、残ったシーンの1つがシャアとシャリア・ブルがワインを飲み明かすシーン。シャアとシャリアの心の距離が近づく重要なシーンだ。これはシャリア側の視点に立てばとても重要だ。彼がなぜシャアのことをずっと探しているのか、きちんと描写する必要があり、キャラクターの動機づけとして、このワインのシーンは非常に上手いシーンだと思う。

で、このシーンで「ボルドーの左岸」なるキーワードが登場する。どうもシャアが用意したワインがかなりの年代物のボルドー産で左岸、ガロンヌ川からジロンド川が流れる西側の地域が原産のワインであるということだ。

で、これを飲んでいる人間というのは、どういう人間なのか。小道具は人物を表現するために用いられることもある。フィクション作品では、どんなものに左岸ボルドー産のワインが登場するのか、調べてみた。そこから、シャアとシャリアをどう描写ているのか、考えてみるのも面白い。

ちなみに、ビンテージのボルドーワインはめちゃめちゃ高いので、かなりのワイン愛好家か、投機のために所有するという人もいるだろう。シャアがどういうルートで入手したのか、わからないが、彼の持つコネクションなどがあの小道具の背景にはあると深読みしたくなる。

『神の雫』

まずは王道の『神の雫』。亜樹直原作、伝説的なワイン漫画だ。物語はワイン評論家の父の遺産をめぐって、主人公・神咲雫が“神の雫”と呼ばれるワインを探し出す旅に出る──という内容だが、そこに当然のように左岸ワインが何度も登場する。

とくに印象的なのが、「第二の使徒」を決める対決。ここで登場するのがシャトー・パルメ2000年。3級格付けながら、五大シャトーに迫る評価を得る銘柄だ。劇中ではこのワインが「絵画」や「交響曲」に喩えられる。

『レッド・オブセッション』

2013年のドキュメンタリー映画『レッド・オブセッション(Red Obsession)』。は、「ボルドー左岸ワインに熱狂する中国の富裕層」を描いた作品だ。この映画は、リーマン・ショック後に、シャトー・マルゴー、シャトー・ラフィット、シャトー・ラトゥールの各社が中国に新たな市場を見出す様を追いかけていて、オークションシーンで1869年産のラフィットが1本2300万円で落札されたという衝撃のエピソードが紹介される。「ボルドーの左岸」はそういうワインなのである。シャアは前世紀のワインと言っていたと思うが、相当に高価なものだろう。いち軍人が買えるのだろうか。

『ハンニバル』

変わり種としては『ハンニバル』がある。ご存知トマス・ハリスのサイコスリラー小説だが、ハンニバル・レクター博士がFBI捜査官のクラリスの誕生日に贈るのがボルドーワインのシャトー・ディケムだ。しかも、彼女の誕生年のものらしい。洒落ているが不気味ではある。だが、ボルドーワインが知的な人間に好まれるものだということはわかるだろう。

レクターはワイン好きなので、ワインを飲むシーンは結構ある。ゲームをプレイしていないがDEATH STRANDING にその引用があるらしい。

高級なブランドワインを飲む、というのは明確にキャラクターの描写として狙ったものであることが多い。何しろ結構特殊な世界というか、庶民が飲むものではないので。しかも、わざわざ「ボルドーの左岸」とセリフに出すあたりはそこに作り手の明白な意図があると思うべきだ。

ここに挙げた作品以外にも、いろいろなところでボルドーワインは小道具として使用されていると思う。そういう作品群でどんな描写で用いられているのか比べて、『ジークアクス』ではどういう使い方をしているのか、考えてみるのも面白いと思う。