ストップモーションアニメーションスタジオのドワーフと、アカデミー賞受賞歴を持つ北米の配給会社GKIDSは、松本大洋の代表作『Sunny』を原作とする長編アニメーション映画の共同開発を正式に発表した。発表はカンヌ国際映画祭のマーケット内で行われた「カンヌ・アニメーション・デイ2025」における特別プログラム「アニメーション・ショーケース」にて行われ、本企画は世界から選ばれた5作品のうちの1本として注目を集めている。
本作の脚本・監督には、『鉄コン筋クリート』(2006年)で世界的評価を受けたマイケル・アリアスが就任。松本作品とは深い親交があり、多くの作品翻訳にも関与してきたアリアスにとって、『Sunny』はまさに待望の再タッグ作品である。
『Sunny』は、松本自身の自伝的要素を含むとされる群像劇であり、親元を離れて暮らす子どもたちの日常と葛藤を、繊細なタッチとダイナミックな構図で描く。第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、小学館漫画賞をはじめとする多数の受賞歴を持ち、米国のアイズナー賞にもノミネートされた名作である。
制作にあたるドワーフは、『どーもくん』『こまねこ』をはじめ、近年ではNetflixの『リラックマとカオルさん』『ポケモンコンシェルジュ』などで国際的評価を得たストップモーションスタジオ。短編『Bottle George』は2024年のアカデミー賞ショートリストに選ばれ、現在は長編『HIDARI』の開発も進めている。リアルで表情豊かな質感が求められる『Sunny』のアニメ化において、ストップモーションの手法は極めて高い親和性を持つと見られる。
一方、配給を担うGKIDSは、これまでに13回アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた実績を持ち、スタジオジブリ作品をはじめ、細田守、湯浅政明、新海誠らの作品を北米市場に紹介してきた。2024年には宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』で同部門のオスカー像を獲得。アニメーションを実写映画と並ぶ芸術表現として紹介し続ける同社の姿勢は、今回の『Sunny』にも大きな期待を抱かせる。
監督のアリアスは「『Sunny』には、ディケンズ的な社会への眼差しや、フェリーニのようなユーモアと美しさ、そして何より“ハート”がある。dwarfの才能あるアーティストたちと、この作品を映像化することに大きな喜びを感じている」とコメント。GKIDSも「この時代を超える物語を、愛を込めて映画として届けたい」と意欲を語った。
マンガとアニメの表現技法を融合させた新たなルックに挑む本プロジェクトは、日本発のグローバルアニメーション映画として、国際市場での成功が期待される。
■スタッフ情報
・監督・脚本:マイケル・アリアス(『鉄コン筋クリート』『ハーモニー』『HEAVEN’S DOOR』)
・原作:松本大洋(『ピンポン』『竹光侍』『ルーヴルの猫』)
・制作:ドワーフ(FIELD MANAGEMENT EXPAND)
・配給・共同プロデュース:GKIDS(米国)
■関連リンク
・ドワーフ公式サイト:https://dw-f.jp/
・GKIDS公式サイト:https://www.gkids.com/
今後の追加キャスト、ビジュアル情報、劇場公開時期などについては、続報が待たれる。