ジャパニーズ・プログレッシブ・ロック界を牽引してきた音楽家・塚本周成によるソロユニット『Shusei’s Project』が、4作目となるフルアルバム『Life through Journey』を2025年4月16日にリリースした。前作から3年ぶりとなる本作は、激動する時代を背景に制作され、塚本の音楽的探究の集大成とも言える内容に仕上がっている。
アルバムには全7曲を収録。いずれも塚本自身が作詞・作曲・編曲・エンジニアリング・プロデュースまで一手に担っており、彼の芸術的なヴィジョンと圧倒的な技術力が惜しみなく注ぎ込まれている。タイトル曲「Life through Journey」では「死すらも旅の途中」と捉える哲学的な視座を提示し、「Climber’s High」では躁状態の危険性を社会的リーダー像と重ねて描くなど、精神・社会・時代への鋭い洞察が全編に貫かれている。
また、本作には新鋭から重鎮まで多彩なアーティストが参加。ギターに荒牧隆子(Outer Limits、アランちゃんバンド〈仮〉)、ベースに永井敏己(VIENNA、デッド・チャップリン)、ドラムに技巧派の大菊勉、ヴァイオリンに藤本美樹など、ジャンルを超えた実力派たちが名を連ねる。さらに、ボーカルには声優の雅絢恵と相馬優、テナーサックスにTHE JAZZ AVENGERSの米澤美玖、ストリングスやフルートには小田司(ヴィオラ)、丸山剛弘(チェロ)、佐々木寿弘(フルート)らが参加し、重層的な音世界を構築している。
アルバムを貫くテーマは「混沌と再生」である。「A Turbulent Future」「Destruction and Reconstruction」などの楽曲では、社会の不穏さや戦争の影を描きながらも、復興と希望の可能性を模索する姿勢が見られる。第7曲「The one who lives forever」では、前作『Destruction』に登場したロボットの“その後”を描き、不死にまつわる存在論的な問いを投げかけている。
塚本は「このアルバムを通して、聴く人それぞれの心に一筋の光を灯したい」と語っており、作品には現代社会の不安や矛盾を映し出しながらも、音楽の力で癒しと再生をもたらすという信念が込められている。
Shusei’s Projectは、単なるプログレの枠を超えて、哲学と感情、技巧と感性が融合した音楽的旅路を提示している。アルバム『Life through Journey』は、まさにその名の通り、聴く者に人生の道程を共に歩ませるような作品となっている。
なお、収録曲「Climber’s High」のミュージックビデオはYouTubeにて公開中。さらに、塚本によるアルバム制作秘話を語るインタビュー動画『Shusei’s Interview Vol.4』も配信されている。
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Shusei’s Project公式サイト:https://www.shusei-tsukamoto.com
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MV「Climber’s High」:https://www.youtube.com/watch?v=rrmOP_Fu2U8