金曜ドラマ『イグナイト –法の無法者–』第2話では、宇崎(間宮祥太朗)たちが大学ラグビー部の自殺未遂事件に挑む姿が描かれた。火種となる事件を”焚き付け”、社会の歪みに切り込む事務所の姿勢が色濃く表れた回であった。
クラブで有名なDJである高井戸
伊野尾(上白石萌歌)に誘われ、気乗りしないまま倶楽部に向かう宇崎。そこでは高井戸(三山凌輝)がDJを務めており、スタイリッシュなカメラワークで存在感を放った。とはいえ、宇崎の心は晴れない。彼はまだこの事務所のやり方に納得できずにいるのだ。
新たな事件、ラグビー部での闇
轟(仲村トオル)は、被害者側が泣き寝入りする現状を変えるべく、自ら「焚き付ける」姿勢を改めて宣言。ターゲットは、大学ラグビー部で自殺未遂に至った西田真斗(藤江琢磨)の弟・颯斗(宮近海斗)である。大学という巨大組織に訴訟を仕掛けようというのだ。
宇崎は保護者説明会に送り込まれるが、大学側は「いじめはなかった」と断定、保護者も一丸となって防衛姿勢を取る。宇崎は空気を読まず学内調査の真偽を問い、会場から冷たい視線を浴び、OBたちと揉めて殴られてしまう。余計なことはするなと指示されていても、直情型の性格の宇崎はこういう時、止まれない性格だ。
宇崎、暴力と真実に直面
轟と伊野尾はラグビー部の部員にアプローチするが、固く口を閉ざされる。一方、高井戸はチアリーダー部をナンパしているふりをしながら情報を収集。
そんな中、宇崎はOBに殴られ、ラグビー部の闇の深さを痛感する。西田家では、颯斗に過剰なプレッシャーをかける両親の姿が描かれた。
カラオケ屋では轟と浅見刑事(りょう)が接触。利害の一致による協力関係が明かされる。
颯斗との対峙、隠された真実
宇崎は颯斗にいじめの有無を問いかけるが、颯斗は兄の事故を「練習の厳しさ」の結果だと言い、取り合わない。
一方、真斗が入院している病院で、彼の友人から「ラグビー部の真実」を知らされ、宇崎は再び憤る。正義感を燃やした宇崎は西田家に乗り込み、伊野尾も同行する。
父親は「いじめはなかった」と断言し、名誉を守ろうとする。しかし母親は「遺書」の存在を仄めかす。これが事態を大きく動かす鍵となった。
訴訟提起、そして裏に潜む謀略
轟と宇崎は大学の理事長室に乗り込み、訴訟提起を宣言。母親の意向による訴訟だが、実は轟は正式な委任を取っていなかった。
両親の説得は宇崎の役割となる。宇崎は颯斗に遺書を突きつけ、正しい行動を求める。
颯斗は涙ながらに父親を問い詰め、兄のために訴訟を決意する。
法廷で明かされる驚愕の事実
裁判では、元ラグビー部員がキャプテンの内藤がいじめを主導していたと証言。
宇崎は監督への尋問で、麻薬性鎮痛剤の使用とそれを運ばされていた真斗の存在を明らかにする。
真斗が抱えきれなかった「闇」は、想像以上に深かった。
事態を重く見た轟は休廷を申し入れ、示談交渉に入る。それは颯斗と家族の意思による決断でもあった。兄の名誉、そして颯斗自身の未来を守るための苦渋の選択であった。
事務所を去れない宇崎、轟の支配
宇崎は「こんなやり方には納得できない」と事務所を辞めたい意志を表明するが、轟は「すでに俺の手のひらの中だ」と告げる。この言葉の真意はなんだろうか。
部活内の体罰やいじめによる上下関係の話かと思ったら、もっと深い闇が関わっていた。痛みに強くなれればラグビーの試合でも有利になるという判断からか。しかし、示談という形で決着。前回は見事に会社組織の悪事を暴いたが、今回はそうならなかった。
この決断にも轟の裏の真意があるのだろうか。
間宮祥太朗演じる主人公は、わかりやすくキャラが立っている。轟はそんな宇崎のまっすぐな気持ちも戦略に組み込みながら訴訟の勝利を模索するマニピュレーターのような存在だ。
弁護士ものは、今社会で議論になっている問題を法廷闘争という形でドラマにしやすい。このドラマはその利点を存分に活かすつもりのようだ。3話では外国人労働者の問題を扱うようだ。
登場人物
宇崎凌(間宮祥太朗)
伊野尾麻里(上白石萌歌)
高井戸斗真(三山凌輝)
浅見涼子(りょう)
桐石拓磨(及川光博)
轟謙二郎(仲村トオル)