2024年に全国で好評を博した舞台『中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~』が、2025年9月に中国・上海で上演されることが決定した。主演は藤原竜也。日本公演と同じキャスト・スタッフで臨む本公演は、現座組による最後の上演となる予定である。
江戸歌舞伎界の興亡を描いた話題作、上海へ渡る
本作は、江戸時代中期の芝居町・日本橋堺町を舞台に、孤児として育った青年が歌舞伎界の頂点を目指して下剋上を果たすまでの波乱に満ちた人生を描くオリジナル戯曲である。脚本は源孝志、演出は蓬莱竜太が手がけ、2024年の東京・広島・愛知・宮城・福岡・大阪での上演では連日満席となる盛況ぶりを見せた。
主演・藤原竜也は、外郎売や『仮名手本忠臣蔵』の斧定九郎を演じる中村仲蔵役を熱演。三味線の生演奏を披露する市原隼人や、市川團十郎役で重厚な存在感を示した髙嶋政宏らが脇を固め、舞台上に江戸歌舞伎界の熱と混沌を甦らせた。

上海公演の詳細と意気込み
上海公演は、2025年9月13日(土)から21日(日)まで、上海交通銀行前滩(ゼンタン)31文化芸能センター·大劇場にて行われる。今回の公演をもって、現在のキャストでの『中村仲蔵』は最後となる。
脚本の源孝志は、「京劇の都である上海で、本作の“人間臭さ”がどのように受け止められるのかに強い関心がある」とコメント。また、演出の蓬莱竜太は「登場人物の生き様が海外の観客にどう届くか、今から楽しみだ」と語る。
主演の藤原竜也は「2018年『ムサシ』以来7年ぶりの海外公演であり、同じ上海で再び芝居ができることを嬉しく思う」と述べた。


歌舞伎界の階級社会を描く下剋上物語
本作の物語は、唄方と振付師の夫婦に養子として迎えられた孤児・仲蔵が、血筋の壁に阻まれながらも芸の力で歌舞伎界を上り詰める姿を描く。やがて役者としての地位を築くが、名誉と引き換えに激しい“楽屋なぶり”にさらされる。仲蔵が辿る苛烈な道のりは、芸能界の光と影、そして不屈の精神を描くものだ。
脚本家・源孝志は、中国映画『さらば、わが愛/覇王別姫』の主人公と仲蔵を重ねたとも語っており、社会の底辺から舞台の頂点へと駆け上がる構造が、国境を越えて観客の共感を呼ぶことを期待している。
公演概要
公演名: 舞台『中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~』
会場: 上海交通銀行前滩31文化芸能センター·大劇場
日程: 2025年9月13日(土)〜21日(日)
出演:
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藤原竜也(中村仲蔵)
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市原隼人(初代市川八百蔵 ほか)
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髙嶋政宏(市川團十郎) ほか
主催: Shanghai Tinye Culture Communication Co., Ltd./New Bund 31
企画制作: ホリプロ
運営: Jo’ Studio
なお、日本国内での再演は予定されていないため、今回の上海公演が本作の“見納め”となる。芝居とともに熱狂を巻き起こした『中村仲蔵』が、いよいよ世界の舞台へと飛び出す。