俳優トム・クルーズが、映画『アイズ・ワイド・シャット』でのニコール・キッドマンの起用秘話や、故ヴァル・キルマーとの思い出、そしてジャック・ニコルソンやマーロン・ブランドといった名優たちへの敬意を語った。これらの発言は、英国映画協会(BFI)が同氏に授与するBFIフェローシップを記念した『Sight and Sound』誌5月号のインタビューに掲載されたものである。
「彼女は当然ながら素晴らしい女優」──キッドマン起用の舞台裏
クルーズは、1999年のスタンリー・キューブリック監督作『アイズ・ワイド・シャット』で当時の妻ニコール・キッドマンを共演相手に推薦した経緯について、「彼女は当然ながら素晴らしい女優だから」と語った。プロジェクトの準備段階でキューブリックと直接会談を重ねる中で、長期撮影が予想される作品に彼女を起用することが自然な流れだったと振り返っている。
また、「脚本はあくまでアイデアの段階。常に書き直し、撮影、そして再撮影しながら作品のトーンを探っていった」とも語っており、キューブリックとの創作過程の濃密さを明かしている。
トップガン共演者ヴァル・キルマーに「美しい才能」と感謝
クルーズは、4月1日に亡くなったヴァル・キルマーとの『トップガン』『トップガン マーヴェリック』での共演についても言及。「彼が出演を決断してくれたことに心から感謝している。彼が演じる“アイスマン”の存在感は、たとえ10分しか登場しなくても強烈だった」と述懐した。
続けて「何年経っても彼は“アイスマン”だった。言葉を発さずとも存在感が圧倒的で、演技が音楽のように響いた」と語り、長年の友情と俳優としてのリスペクトをにじませた。
ジャック・ニコルソンやマーロン・ブランドへの演技論
『ア・フュー・グッドメン』で共演したジャック・ニコルソンについては、「彼はまるで台詞を彫刻するように演じる。“瞬間”を自在に操る名手だった」と賞賛。さらに、『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドに言及し、「あの猫は一発撮りの即興だった。光とカメラを知り尽くし、“奇跡の一瞬”をものにできる力が彼にはあった」と語った。
BFIフェローシップ受賞、キャリア回顧トークも開催
クルーズは、5月12日(月)にロンドンのBFIにてBFIフェローシップを授与される予定だ。これは、デヴィッド・リーン、黒澤明、オーソン・ウェルズ、マーティン・スコセッシ、クリストファー・ノーランらに続く名誉である。
また、授与前日である5月11日(日)には、BFIサウスバンクでキャリアを振り返るトークイベント「In Conversation」にも登壇する。さらに、5月14日(水)にはカンヌ国際映画祭にて、シリーズ最終章となる『ミッション:インポッシブル/ザ・ファイナル・レコニング』のワールドプレミア上映が控えている。
ソース:Tom Cruise Offers Rare Praise To Kidman & Lauds Nicholson & Brando