中越紘海(北川景子)が結城旭(大森南朋)への復讐のためにその部下となり、社内に潜入するという物語の緊張感が一気に高まる第5話。冒頭、笑顔で社内に溶け込もうとする紘海だが、クレーム対応で早くも現場の洗礼を受ける。一方、保育園の園長・雪子(原日出子)は偶然、美海(一色香澄)と出会ってしまい、娘を亡くしたはずの紘海に別の娘がいることに違和感を覚えるところから始まった。
お客様相談室という、経験者でなければ配属されない部署に素人同然の紘海が配属されたことは、彼女が旭に気に入られていることの証左である。紘海の視線は常に旭に向けられており、その動機は娘の死の真相を暴くためであることが語られる。
週刊誌記者の東砂羽(仁村紗和)が旭に取材を申し込むと、代わりに現れたのは望月耕輔(筒井道隆)。彼の煮えきらない態度に苛立つ東は、正々堂々と旭に取材に応じるよう求める。
美海は母・紘海に雪子のことを尋ねるが、紘海は答えをはぐらかす。お客様相談室の同僚・村杉は、紘海の存在に強い対抗意識を抱き、旭に取り入ろうとしているのではないかと警戒する。
やがて、美海は一人で雪子のもとを訪ね、母には聞けないことがあると語る。子どもらしからぬその姿勢に、秘密の存在が浮かび上がってくる。彼女は何を聞こうとしているのか。
一方、紘海は旭に対する店舗で投函されたお客様の声の中に誹謗中傷投稿を発見する。その投稿は定期的に続いており、部下たちは報告していないという。旭の自宅では、娘・梨々子(平祐奈)が祖父に結婚の相談を持ちかけるが、父・旭にはその話をしていなかった。梨々子の涙が真実なのかどうか、視聴者にも判断が委ねられる。
歓迎会の席で、旭がかつて社長を務めたYUKIデリ時代に一人だけ部下を切ったことが話題となる。その人物こそが誹謗中傷の投稿者ではないかと疑念が深まる。
翌日、紘海は旭に直接「お客様の声」を届ける。誹謗中傷投稿を見せるも、旭は「放っておいていい」と意に介さない態度を見せる。さらに「これまで誰からも恨まれていないと言えるか」と問いかける旭に対し、紘海は「業務時間外で調べる」と真剣に応じる。やがて、SNSで該当しそうな人物を割り出し、喫茶店の場所まで突き止める執念が描かれる。
一方、望月は東に接触し、鷲尾が旭に切られた唯一の存在と知らされる。だが、実際の投稿者は鷲尾ではなく、スーパーの元店長にしてお客様相談室の室長であった。ただの逆恨みであり、現場経験のない旭が常務となったことが気に食わないという感情が動機であった。
その後、旭は紘海を会議室に呼び出し、新商品ミールキットの試食を依頼する。例の投稿についてもすでに社員の仕業と見抜いていた旭は、「人の心は万華鏡だ」と語り、人は誰しも別の顔を持つものだと説く。その言葉は、視聴者にも深い余韻を残す。
そして、雪子からの電話で事態は一変する。雪子は「美海は血のつながった娘なのか」「彼女はそのことを知っているのか」と問いかける。雪子は紘海を責めることなく、彼女が子どもを不幸にする人間ではないと信じているのだ。
美海は、紘海に父のことを尋ねられず、周囲に答えを求めていた。その事実に気づかなかった紘海は、旭の言葉「人の心は万華鏡」を思い出し、娘の心の奥深さを痛感する。
そして、物語の終盤、玖村毅(阿部亮平)が梨々子とマッチングアプリで再会する。彼は彼女の嘘によって過去に仕事を失っており、二人の因縁が新たな火種となる予感が漂う。
一方、望月は旭に対し、鷲尾に関する疑念を突きつける。その直後、相談室には鷲尾からの告発動画が届く。「子どもの命が失われている。真実を明らかにする責任があるはずだ」という強烈なメッセージにより、旭の過去に再び焦点が当たる。
本エピソードは、潜入劇の緊迫感と親子のすれ違い、そして隠された真実が複雑に絡み合う濃密な内容となった。「人の心は万華鏡」という旭の言葉が象徴するように、誰しもが多面性を抱えて生きている。紘海と美海、旭と梨々子、そして旭と過去に切り捨てた者たち。第6話に向け、真実の輪郭が徐々に浮かび上がろうとしている。
登場人物
中越紘海(北川景子)
東 砂羽(仁村紗和)
結城梨々子(平 祐奈)
玖村 毅(阿部亮平)(Snow Man)
鷲尾 勇(水澤紳吾)
野口初芽(小川李奈)
中越美海/結城萌子(一色香澄)
村杉結愛(田山由起)
鳥谷陸翔(内藤秀一郎)
小石川雪子(原 日出子)
木戸江身子(鶴田真由)
三浦勝昭(大浦龍宇一)
木戸雅人(中原丈雄)
望月耕輔(筒井道隆)
結城 旭(大森南朋)