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SEVENTEEN、K-POPの頂点から次なる進化へ──グローバル成功のその先にある「成長」という課題


韓国発の13人組ボーイズグループ・SEVENTEEN(セブンティーン)が、2025年にデビュー10周年を迎えた。スタジアム公演を連続で成功させ、米国や日本のチャートを席巻する一方で、メンバーの兵役や音楽的転換など、グループは大きな変化の岐路に立たされているとハリウッド・レポーターが特集している

グローバルK-POPの象徴となったSEVENTEEN

国際レコード産業連盟(IFPI)の最新レポートによると、SEVENTEENは2024年に全世界で3番目に売れたアーティストにランクイン。グループとしては世界一の売上を記録した。2023年から2024年にかけてアジアで行った「Followツアー」は、24公演で約98.4億円(約6,300万ドル)の興行収入を叩き出し、K-POP史上最大のアジアツアーとなった。

本拠地ソウルでは、所属レーベルPledis Entertainment(プレディス、親会社はHYBE)周辺にグループの広告が所狭しと掲出され、地下鉄やカフェでもメンバーの顔が見られる。セブンティーンの顔が描かれた巨大なバナーが街を彩り、まるでソウル全体が彼らの10周年を祝っているかのような光景が広がる。

10周年アルバム『Happy Burstday』に込めた個の深化

記念すべき5枚目のアルバム『Happy Burstday』では、13人全員のソロ曲が収録され、グループ曲はわずか3曲。これは、各メンバーが個性を発揮しつつ、ソロ活動を見据えた布石でもある。

ラップチームのリーダーでありグループ全体のリーダーを務めるS.Coupsは「新たなスタートラインに立った。自分たちの道を切り拓く準備ができている」と語る。一方、パフォーマンスチームのリーダー・Hoshiは「各メンバーの能力と個性を発信しておくことで、再び集結したときにより強いSEVENTEENとして戻ってこられる」と述べる。

兵役とともに迎える“成熟”の時代

現在、最年長のJeonghan(29)とWonwoo(28)は兵役中で不在。その他のメンバーも近年中に順次入隊予定であり、グループの活動はしばらく変則的となることが予想される。アメリカ国籍のJoshua、中国籍のThe 8とJun、ACL負傷により免除されたS.Coupsを除くメンバーが、今後18か月以上の軍務に就く見通しだ。

こうした状況にもかかわらず、Wooziは「僕らはファンとともに未来を見ている。これは次のアルバムに向けた長期準備期間と考えている」と前向きな姿勢を示す。

K-POP業界の常識を変える自律性

SEVENTEENの特徴のひとつが、デビュー当初からメンバー自身がグループの方向性に深く関与している点である。プレディス創業者であり“Master Professional”の称号を持つHan Sung Soo氏は「メンバーは創作だけでなく、戦略面でも主体的に意思決定している」と明言する。

また、SEVENTEENの活動スタイルは、従来のK-POPの枠にとどまらない。英語楽曲「Dar+ling」や、ファレル・ウィリアムス、ティンバランドとのコラボを含む西洋市場への進出を積極的に行い、K-POPの“ジャンル”ではなく、“システム”としての存在感を世界に示している。

絆でつながる13人の10年

メンバーの多くが10代でデビューし、青春時代を共に過ごしてきたSEVENTEEN。共同生活を送りながら衝突もありつつ、強い絆を築いてきた。「喧嘩を通して、傷を作っては癒すことを繰り返してきた」と語るのはラップチームのMingyu。一方で、最年少のDinoは「12人の兄ができたことで、同年代の子どもよりも多くのことを学べた」と振り返る。

海外活動で一時不在だったJunも「グループに戻ってきた今、自分の新たな一面を見せられるよう考えた」と語り、各メンバーがSEVENTEENという軸を大切にしていることがうかがえる。

健康への配慮と持続可能な活動

高ストレス環境下でもSEVENTEENが力強く活動を続けられている背景には、フィジカル・メンタル両面への徹底したケアがある。The 8は「リハビリやジムでのトレーニング、瞑想を習慣にしている」と語り、DKは「仕事を完全に忘れて家でリラックスする時間を大切にしている」と明かす。

Joshuaによれば、メンバーは必要なときにいつでもカウンセリングを受けられる体制が整っており、HYBE内にはアーティスト向けのクリニックも完備されているという。

世界に向けて“自分たちの物語”を届ける

欧米市場では、K-POPが依然として主流音楽の枠組みから外れて評価されることもある。しかし、Wooziは「評価されるかどうかよりも、自分たちの物語を愛してくれる人たちに届けたい」と語る。Vernonも「すべての人に理解される必要はない。自分たちはただ感謝して、この場所にいることを喜んでいる」と微笑む。

SEVENTEENは今、新たな段階に足を踏み入れている。成長と変化の波を恐れず、むしろそれを自らの力に変えようとする13人の姿は、K-POPというジャンルの可能性をさらに押し広げようとしている。