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4年の制作期間を経て完成、ファンタジア映画祭でプレミア上映決定
映画界の鬼才エディ・アルカザール監督が新プロジェクト「Bullet Time」を発表。スティーブン・ソダーバーグやダレン・アロノフスキーといった巨匠たちとのコラボレーションで知られるアルカザール監督が、90年代アニメーションの黄金期にインスパイアされた手描きTVパイロット版を完成させた。
注目の映画監督エディ・アルカザールのキャリア
アルカザール監督は、これまで映画界の重鎮たちから高い評価を受けてきた新進気鋭の映像作家である。ソダーバーグが製作総指揮を務めた2018年のSF映画デビュー作「Perfect」に続き、2023年にはサンダンス映画祭でプレミア上映された白黒映画「Divinity」でも再びタッグを組んだ。同作品はIndieWireによって「その年最も美しい映画の一つ」と評価されている。
一方、アロノフスキー監督は2021年にニューヨーカー・スタジオから配給されたアルカザール監督の短編映画「The Vandal」で製作総指揮を担当。さらにアルカザール監督は、今年初めにザ・ウィークエンドのストップモーション・ミュージックビデオ「Red Terror」の脚本・監督も手がけるなど、多方面で才能を発揮している。
「Bullet Time」プロジェクトの詳細
4年間の制作期間を要した「Bullet Time」は、完全手描きアニメーションとして制作された。同作品は90年代アニメーションの黄金期、特に「レン&スティンピー・ショー」のような作品群にオマージュを捧げている。
あらすじ:レトロゲームへのノスタルジアと土曜の朝のアニメ番組の狂気に満ちたシュールな世界を舞台に、感情的に不安定なブルテリア犬のバレットが、奇怪なデジタルゲーム宇宙で戦いを繰り広げる物語。狂乱的なアクション、心温まる要素、そして不条理なユーモアを融合させ、90年代アニメの奇抜さと最先端のアニメーション技術を組み合わせた視覚的に爆発的な体験を提供する。
豪華スタッフ陣とキャスト
音楽はダニー・エルフマンが作曲を担当。プロデューサーにはハビエル・ロバトが参加している。
アニメーション監督には「レン&スティンピー」「スポンジ・ボブ」で知られるボブ・ジャックが就任。声優陣にはエリック・バウザ、ルイス・ボルドナダ、デビッド・ファース、ユーリーらが名を連ねている。
監督の想いと制作背景
アルカザール監督は声明の中で、「ようやく私にとって大きな意味を持つプロジェクトを共有できることを嬉しく思う」と語っている。
制作の裏には個人的な体験が。4年前の制作開始時期に愛犬バレットを失ったアルカザール監督は、「今でも毎日彼のことを思い出す。彼の記憶がアニメーション制作を続ける原動力となった」と明かしている。
監督は90年代について「アニメーションのインスピレーション、革新、愛情の黄金時代だったように思える。その感覚を取り戻したかった」と述べ、AI時代への警鐘も鳴らしている。「AI時代に向かう中で、完全手描きアニメーションのTVパイロット版を完成させることは、少し苦い気持ちもある。時代は変わるが、努力と情熱への評価が失われないことを、そして技術と経験から生まれる創造に価値を見出し続けることを願っている」
ファンタジア映画祭での上映
「Bullet Time」は今夏開催されるファンタジア・ジャンル映画祭(7月17日〜8月3日)でプレミア上映される予定である。完全なラインナップは間もなく発表される。