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テレビドラマ『PJ ~航空救難団~』第6話レビュー:パワハラ疑惑と命がけのレスキュー


第6話「出動!大規模災害発生!取り残された命を救え!」は、藤木さやかの辞退により、宇佐美誠司(内野聖陽)が教官職の自粛に追い込まれるところから始まる。女性唯一のパラレスキュー隊員を目指して奮闘していた彼女だったが、限界を超えてしまった。そして、彼女を追い込んだのが宇佐美だという告発文が匿名で届いたのだ。もちろん、それは藤木が書いたものではない。藤木は宇佐美には責任はないと言っている。

自衛隊という組織は一般社会とは異なる。とりわけ航空救難団は人命救助最後の砦と言われるだけあって、その任務は過酷だ。過酷な任務をやり遂げれる精神は普通の教育では鍛えられない。ここには一般社会とは異なる倫理で対応セねばならない事情はある、だが、社会の波はパワハラを許さないのだ。

宇佐美はパワハラを働いていない。学生たちの誰もがそれを知っている。しかし、宇佐美のやり方・言動は周囲からも理解されにくい部分がある。古風な面があることも確かだ。自衛隊という組織の現代社会への対応に苦慮している面がうかがえるエピソードだ。

結局、告発文を出したのは学生の長谷部達也(渡辺碧斗)だった。誰よりも宇佐美を尊敬しているはずの長谷部がどうしてそんなものを書いてしまったのか、それは、藤木が追い込まれていくのを目の当たりにして、宇佐美が追い込んだのではと妄想を膨らませてデタラメを書いてしまったのだという。彼もまた高所恐怖症というハンデを抱えていて、周囲の足を引っ張っていると責任を感じているため、精神的に追い込まれていたのかもしれない。

そんな長谷部は自分には人を救う資格がないと言い出す。しかし、宇佐美はそんな長谷部の前で高所から身を投げ出すそぶりを見せ、長谷部に助けさせる。人を助けたいという長谷部の気持ちを行動で引き出したのだ。

一方、大雨で地盤が緩んだ山岳地帯で土砂崩れが発生。仁科蓮(濱田岳)たちは救助に向かうが予想よりも時間のかかる作業となる。陸路が寸断されているため、空路で偵察に向かう仁科たちだが、崩落寸前の建物の中で要救助者を発見、しかも建物の中から子どもの声が聞こえる。危険を承知で建物の中に突入する仁科だが、斜面の崩落は本格化して建物を飲み込んでいく。仁科は行方不明となってしまった。

果たして、彼は助かるのか。

このような危険な任務がつきもののPJという仕事には、特別な精神性が求められるという説得力がある構成だ。全く普通の仕事ではない、命の危険と隣合わせの仕事なのだ。

 

藤木さんのリタイアは残念だ。第2話の彼女中心のエピソードはすごく良かった。実際、女性のPJはまだ存在しないらしいが、どうしても肉体のハンデがある女性にもレスキューとして活躍できる場面があると思わせる内容だっただけに、ここでリタイアは本当に残念。ドラマとは言え、女性でもPJはできるという可能性を示してほしかった気もする。

 

登場人物
宇佐美誠司(内野聖陽)
沢井仁(神尾楓珠)
藤木さやか(石井杏奈)
白河智樹(前田拳太郎)
長谷部達也(渡辺碧斗)
西谷ランディー(草間リチャード敬太(Aぇ! group))
東海林勇気(犬飼貴丈)
近藤守(前田旺志郎)
乃木勇菜(吉川愛)
上杉幸三(和田正人)
沢井瑞枝(奥貫薫)
仁科芽衣(黒川智花)
大山順一(眞島秀和)
滝岡賢(長谷川朝晴)
中林誠(高岸宏行(ティモンディ))
森野明里(野村麻純)
堀越正一(宍戸開)
仁科蓮(濱田岳)
乃木真子(鈴木京香)