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ヤン・シュヴァンクマイエル「最後の長編劇映画」『蟲』8月9日公開決定 90歳チェコの巨匠が集大成


チェコのシュルレアリスト映画作家ヤン・シュヴァンクマイエル(90歳)が「最後の長編劇映画」と宣言して2018年に完成させた『蟲(むし)』が、8月9日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。

同時に、シュヴァンクマイエルの現在と過去を捉えたドキュメンタリー『錬金炉アタノール』(2020年・ヤン・ダン&アダム・オルハ監督)と、驚愕の記録映画『クンストカメラ』(2022年)も公開される。

チャペック兄弟の戯曲を基にした最新作『蟲』

『蟲』は、チェコの国民的作家であるチャペック兄弟の有名な戯曲『虫の生活』に取り組む小さな町のアマチュア劇団の物語である。コオロギ役を兼任する演出家は、メンバーたちのやる気のなさに怒りが収まらない。不穏な空気でリハーサルが進む中、やがて劇の展開と役者たちの行動が交錯し、ついに舞台に惨劇が訪れる。

© Athanor Ltd.

本作は演劇の中の物語、それを演じる役者たちの素の姿、さらに『蟲』のメイキングも同時進行で提示されるという斬新な3層のメタ構造を採用している。シュヴァンクマイエルならではのアニメーション技法も存分に味わえる作品となっている。

世界的な支援で完成した集大成

製作時には資金を補うためのクラウドファンディングが行われ、シュヴァンクマイエルを師と仰ぐクエイ兄弟やギレルモ・デル・トロも大々的に協力した。日本のファンも含め世界中から多くの出資が得られて完成に至った。

シュヴァンクマイエルは1988年の『アリス』以来、『ファウスト』『悦楽共犯者』『オテサーネク』『ルナシー』『サヴァイヴィング ライフ』と、これまで6本の長編を発表してきた。今回の『蟲』は、シュルレアリストとしてのアプローチが極まった集大成的な一作とされている。

同時公開される2作品の詳細

『錬金炉アタノール』(117分)は、老境に達したシュヴァンクマイエルの現在と過去を捉えたドキュメンタリーである。創作上のパートナーでもあった亡き妻エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの想い出、長年製作を支えてきたプロデューサー、ヤロミール・カリスタとの愛憎入り交じる関係など、あらゆる側面が赤裸々に映し出される。

『クンストカメラ』(115分)は、チェコの南西部ホルニー・スタニコフにあるお城と旧穀物庫で、世界中から集めた絵画や彫像、動物の剥製や貝殻、自身や妻の作ったオブジェなど、一般の価値基準とは無縁の不思議なコレクションが、ヴィヴァルディの「四季」に乗ってナレーションもなしに延々と映し出される記録映画である。

公開情報

3作品は8月9日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開される。シアター・イメージフォーラムでは、最新3作に加えて『アリス』『ファウスト』『オテサーネク』『サヴァイヴィング ライフ』も上映される予定である。

公式サイト:『蟲』『錬金炉アタノール』『クンストカメラ』公式サイト