公共放送局PBS、修正第1条違反として連邦政府を訴える
2025年5月30日、米国の公共放送局PBS(Public Broadcasting Service)とミネソタ州の系列局が、トランプ政権による公共放送への資金削減の取り組みに対して連邦裁判所に提訴した。
訴訟の争点と背景
ワシントンD.C.の連邦地方裁判所に提出された訴状によると、PBSは政権の資金削減努力が以下の点で違法であると主張している:
- 修正第1条違反: PBS及び系列局の言論の自由を侵害
- 大統領権限の逸脱: 公共放送公社(CPB)の資金決定に対する不当な政治的介入
- 報復的措置: ニュース報道に対する政治的報復
PBS広報担当者は「慎重な検討の結果、公共テレビの編集の独立性を守り、PBS加盟局の自律性を保護するために法的措置を取ることが必要との結論に達した」と述べている。
政権側の反論
一方、ホワイトハウス副報道官のハリソン・フィールズ氏は「公共放送公社(CPB)は税金を使って特定の政党を支持するメディアを制作している。そのため大統領は、NPRとPBSへの資金提供を制限する合法的権限を行使している」と反論した。
さらに「大統領は税収の効率的使用を確保するという国民の負託を受けて選出された。その目標達成のため合法的権限を引き続き行使する」と政権の立場を説明している。
トランプ政権の具体的措置
トランプ大統領は公共放送への攻撃を複数の手段で展開している:
- 大統領令の署名: 公共放送への資金削減を命じる行政命令
- 予算削減案の推進: 議会に対する予算減額要求
- 議会への働きかけ: 予算からの資金削除を求める政治的圧力
訴状が指摘する違憲性
訴状では、大統領令の以下の点が憲法違反であると主張している:
「大統領令はPBSの番組内容を理由に資金を断ち切ろうとしており、言論内容を変更させようとする明白な観点による差別であり、PBSおよび加盟局の編集裁量権の侵害である」
「大統領令はまた、連邦資金でPBSの番組やサービスにアクセスすることを禁止することで、加盟局への違憲な条件を課そうとしている。これらすべてが修正第1条の言論保護と報道の自由に違反する」
公共放送の独立性への懸念
訴状は、この措置が認められれば深刻な影響をもたらすと警告している:
- 議会が公共テレビ資金の運営を政府の編集権限から除外した決定の無効化
- PBS及び加盟局が全米国民に多様な番組を提供する能力への深刻な影響
- 政治的干渉なしに視聴者とコミュニティに奉仕する能力の損失
この訴訟は、公共放送の独立性と政府による政治的圧力の境界線を問う重要な憲法問題となっている。PBS側は「議会と修正第1条が義務付けるように、政治的干渉なしに視聴者とコミュニティに奉仕する能力を維持する」ことを目的として法廷闘争に臨む構えである。