TBS日曜劇場『キャスター』第8話は、進藤壮一(阿部寛)の過去と現在が交錯する重要な展開を見せた。
冒頭で進藤が自宅の火災を回想するシーンから始まり、現実では電子力関連施設近くで発生する。現在と過去が交錯するエピソードであることが暗示されるような演出だ。
山火事の現場で進藤は、羽生議員の秘書・池内を救助本部で発見する。政治家秘書がなぜここにいるのか、その疑問は後の展開への伏線となった。この村出身の山井(音尾琢真)の父親が行方不明となり、認知症の高齢者としてGPSの最終地点が火災地区を示していることが明らかになる。
このエピソードはこれまでも報道マンとしての矜持を要所々々で見せてきた山井を掘り下げる内容でもあった。父親の生死がわからない中、黙々と報道の仕事を続ける山井を描いている。
物語の転換点は、雨により山火事が鎮火した後である。山井の父が原発センター前で発見されたという連絡を受けた進藤の表情が一変し、この村の原子力施設への特別な関心を示す。進藤が山中で発見した奇妙なトンネルと、そこにあった山井の父の足跡は、原発施設の江上所長の証言との矛盾を浮き彫りにした。どうも、この村には進藤が追っている秘密があるようだ。そして、それは、進藤が度々見つめている古い新聞記事、自衛隊輸送機の墜落と関係があるようだ。
最も重要な展開は、山井の父が「リーク」とつぶやき、進藤が渡した鍵の暗号が自衛隊機墜落の日付であったことである。進藤がこの村に13歳の時から100回近く訪れているという執念深さは、42年前の自衛隊輸送機墜落事件と翌年設立された原子力施設との関連を示唆している。
さらに衝撃的なのは、進藤の父親がジャーナリストとしてこの地を取材後、何も言わずに自宅に火をつけたという事実である。例のトンネルが自衛隊機墜落現場に作られているという情報は、すべての謎が一つの事件に収束していることを物語っている。
終盤で羽生議員が進藤に対し、官房機密費の記事によりニュースゲートをクビになると告げ、その情報をリークしたのが本橋悠介(道枝駿佑)であることが判明する。羽生の「父親と同じ道をたどることになる」という言葉は、進藤の父の死の真相に迫る重要な示唆である。
残された謎
最終章を前に、以下の謎が残されている:
42年前の自衛隊輸送機墜落事件の真相は何か。なぜこの事件の翌年に原子力施設が設立されたのか。
進藤の父親の死の真実は何か。ジャーナリストとして何を発見し、なぜ自宅に火をつけたのか。
羽生議員と村、原子力施設、自衛隊機墜落の関係性はどのように結びついているのか。
山井の父が知っていた「リーク」の内容と、なぜ彼が山奥に連れ出され崖から突き落とされたのか。
トンネルに隠されていた秘密と、江上所長が必死に隠そうとする真実は何か。
これらの謎が最終章でどのように解き明かされるのか、進藤が父と同じ運命をたどるのか、物語の結末が注目される。
登場人物
進藤 壮一(阿部寛)
崎久保 華(永野芽郁)
本橋 悠介(道枝駿佑)
小池 奈美(月城かなと)
尾野 順也(木村達成)
チェ・ジェソン(キム・ムジュン)
戸山 紗矢(佐々木舞香)
鍋田 雅子(ヒコロヒー)
松原 哲(山口馬木也)
崎久保 由美(黒沢あすか)
横尾 すみれ(堀越麗禾)
進藤 壮一 (幼少期)(馬場律樹)
羽生 剛(北大路欣也) (特別出演)
尾崎 正尚(谷田 歩)
羽生 真一(内村 遥)
滝本 真司(加藤晴彦)
南 亮平(加治将樹)
梶原 広大(玉置玲央)
安藤 恵梨香(菊池亜希子)
市之瀬 咲子(宮澤エマ)
海馬 浩司(岡部たかし)
山井 和之(音尾琢真)
国定 義雄(高橋英樹)
深沢 武志(新納慎也)
川島圭介(山中崇)