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スタローン映画デビュー作「リベル」、監督の意図した形で劇場公開へ 撮影から50年超を経てディレクターズ・カット版が実現


シルベスター・スタローン主演、反戦テーマの幻の処女作が4Kリマスターで蘇る

1971年に製作されながら、これまで断片的な公開に留まっていたシルベスター・スタローン主演の映画「リベル」(原題:Rebel)のディレクターズ・カット版が、6月6日より全米の劇場で順次公開される。監督のロバート・シュニッツァーが50年以上の時を経て、ついに自身の意図した形での劇場公開を実現した。

クレジットカードで製作費を調達、無名時代のスタローンを抜擢

当時21歳だった独立系映画監督のシュニッツァーは、ロバート・タウンゼントやケビン・スミスといった後の映画監督たちと同様に、クレジットカードで製作費を調達してこの低予算映画を製作した。SAG(全米映画俳優組合)所属の俳優を雇う予算がなかった彼は、主人公ジェリー・サベージ役に500人以上の新人俳優をオーディションした。

ジェリー・サベージは、ベトナム戦争で拷問や処刑に使用された「タイガーケージ」を製造する調理器具会社への爆破テロを計画する反戦活動家の役である。2か月間のオーディションの結果、シュニッツァー監督は24歳の無名俳優シルベスター・スタローンを第一候補に選んだ。

「彼は完全にユニークな存在だった」とシュニッツァー監督はIndieWireのインタビューで語っている。しかし、製作パートナーたちは反対した。「『彼を雇うな。話し方が理解できない』と言われた」が、監督は粘り強く説得し、最終的にスタローンの起用が決定した。

幻の名作、半世紀を経て真の評価へ

完成した映画「ノー・プレイス・トゥ・ハイド」(当初のタイトル)は、独立映画特有の配給問題により、その後50年間にわたって散発的な公開に留まった。主要な映画業界誌や新聞による本格的なレビューも受けることがなかった。

1976年に「ロッキー」でスタローンが大ブレイクした後、「リベル」と改題されて再公開されたが、ビデオカセットやテレビ放送での展開が中心で、アメリカ史上最悪の時代の一つとそれに立ち向かう人々を描いた詳細な作品として適切な評価を受ける機会は失われていた。

4Kリマスターで甦る監督の真意

2000年代に入り、シュニッツァー監督は各地域や二次市場へのライセンス契約をすべて更新せず、世界的な配給権を自身に戻した。その後、4Kリマスター、サウンドリミックス、そして長年気になっていた問題点の微調整を施し、「リベル:ディレクターズ・カット」として完成させた。

6月6日のロサンゼルス「ブレイン・デッド・スタジオ」を皮切りに、アートハウス系映画館やレパートリーシネマで全米公開される。初回上映では、金曜・土曜の夜の回でシュニッツァー監督によるQ&Aセッションも予定されている。

ニューヨーク・ロケの迫力とリチャード・プライアーとの縁

当時のニューヨークでの無許可撮影について、シュニッツァー監督は「あの頃はそれほど大きな問題ではなかった。道路の真ん中に三脚を立てることができた。請求書の支払い以外に問題はなかった。素晴らしいクルーとキャストがいた」と振り返る。

興味深いエピソードとして、黒人の共謀者レイ役のオーディションで、後にコメディ界の巨匠となるリチャード・プライアーが候補に挙がっていたことが明かされた。「『私は本当はコメディアンです。スタンダップで オーディションしてもいいですか?』と言って5分間の素晴らしいルーティンを披露した。私は彼を第一候補にしたかったが、『コメディアンはいらない、これはドラマ映画だ』と反対され、諦めてしまった。あの俳優がリチャード・プライアーだったと知り、今でも後悔している」と監督は語る。

冷蔵庫に保管されたフィルム缶

撮影は順調に進んだものの、ポストプロダクション段階で資金難に直面した。「撮影資金はあったが、ネガの現像とワークプリント製作の費用がなかった。6か月間、100缶のフィルムを冷蔵庫に保管し、現像費用を調達するまで待った」とシュニッツァー監督は回想する。

「デートで女性を家に連れて帰ると、台所を見て『冷蔵庫はどうなっているの?食べ物も飲み物もなくて、フィルム缶だけ』と言われた。今では笑い話だが、当時の6か月間は映画が成功したかどうか分からず、不安でいっぱいだった」

反戦映画として現代に問いかけるメッセージ

1973年に小規模配給で公開された際は「ノー・プレイス・トゥ・ハイド」として、アトランタ映画祭でプレミア上映された。その後、地方テレビ局、海外市場、ビデオテープ、そして「ロッキー」公開後の「リベル」としての再公開を通じて観客に届けられてきた。

シュニッツァー監督は、この映画の意図について「説得力のあるスリラーを作りながら、世界平和への訴えでもある」と説明し、そのメッセージは製作当時と同様に現在でも関連性があると考えている。

「2、3年前、世界各地で戦争が勃発しているのを見て、この反戦映画を保管庫から出そう、映画ファンの意識に何かを貢献しようと考えた」と監督は語る。

現代への警鐘として

マーク・トウェインの「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」という言葉を引用し、シュニッツァー監督は「映画で描かれた監視、FBI、CIAの問題は、まさに今の状況と同じだ。物事が変わるほど、変わらないものがある」と指摘する。

監督の最大の希望は、「リベル:ディレクターズ・カット」が観客に戦争と平和、そしてそれらにおける国家の役割について考えるきっかけを与えることだ。「地政学を新鮮な目で見直し、世代を超えて続く傾向を理解する時が来た。この映画が人々の心を少し開くことができれば」と語っている。

「リベル:ディレクターズ・カット」は、ジャイアント・ピクチャーズ配給で6月6日より公開される。

ソース: Sylvester Stallone’s Feature Debut Finally Reaches Theaters as Its Director Intended — Over 50 Years After Filming