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AI技術を活用した映画制作の新潮流、世界から6000作品が応募
2025年6月6日、AI技術を活用した映画制作で注目を集めるRunway社主催の第3回AI映画祭が、ニューヨークのリンカーンセンター・アリス・タリーホールで開催された。Jacob Adler監督による9分間の実験的作品「Total Pixel Space」が最優秀賞を受賞し、AI映画制作の新たな可能性を示した。
急成長するAI映画祭、応募作品数が3年で20倍に拡大
30億ドル以上の企業価値を持つAI企業Runwayが主催する同映画祭は、2022年の初回開催時には約300作品の応募だったが、今回は世界各国から6000作品が寄せられるまでに成長した。
Runway CEOのCristóbal Valenzuela氏は「3年前はこれほどクレイジーなアイデアだった」と振り返り、「今年は本当に重要な瞬間にいると感じる。AIは私たちの生涯で最も重要な技術的変化となる可能性がある」と述べた。
映画業界の聖地で示されたAI技術の創造性
ニューヨーク映画祭の会場としても知られるアリス・タリーホールで開催された今回の映画祭では、2分から10分の多様な視覚スタイルを持つ10作品がファイナリストとして上映された。
Runway共同創設者のAlejandro Matamala Ortiz氏は「長編映画の制作を支援することが目標であり、その実現に近づいている」と語った。
準優勝作品は社会的メッセージを込めたドキュメンタリー
準優勝に選ばれたのは、Andrew Salter監督による「Jailbird」。英国の刑務所で囚人が鶏を飼育するプログラムを扱ったドキュメンタリー作品で、AI技術を控えめに使用しながら社会的な意義を描いた。
音楽プロデューサーFlying Lotusが語るAI創作の可能性
ゲストスピーカーとして登壇した音楽プロデューサー・映画監督のSteven Ellison氏(Flying Lotus名義で活動)は、「壁や境界、ゲートキーパーが嫌いだ」と述べ、AI技術について「『とりあえずやってみる』手法に特に有効だ。事前に構想を練る必要がなく、遊びながら創作できる」と評価した。
映画・TV業界でも導入が進むRunway技術
Runway社の技術は現在、映画制作者やクリエイターに加え、ライオンズゲートやPablo・Juan De Dios Larraín兄弟設立のFabula社など、映画・テレビ業界の企業でも導入が進んでいる。
木曜日にはロサンゼルスのBroad Stage Theatreでも同様の映画祭が開催される予定となっている。
ソース:Runway’s AI Film Festival, On Hallowed Ground At Lincoln Center, Honors ‘Total Pixel Space’