『アンパンマン』の原作者として知られる、やなせたかし。彼が描いたもう一つの名作、劇場アニメ『チリンの鈴』が、2025年6月25日(水)午前0時(24日深夜)からNHK Eテレで放送されることが決定した。
今回放送されるのは、1978年の公開時に使用されたオリジナルの35mmフィルムから新たにテレビ映像化された特別版。サンリオが制作した本作は、愛らしいキャラクターデザインとは裏腹に、胸を打つ悲劇的なストーリーが多くの人々の心に深く刻まれており、今回の放送は往年のファンだけでなく、新たな世代にも大きな衝撃と感動を与えるだろう。
目次
放送概要:やなせたかしの隠れた名作がEテレに
『チリンの鈴』は、1978年にサンリオによって制作・公開された劇場用アニメーション映画である。やなせたかしが描く「本当の強さ」や「幸せ」とは何かという普遍的なテーマが、子羊チリンの過酷な運命を通して問いかけられる。
- 放送局: NHK Eテレ
- 放送日時: 2025年6月25日(水)午前0:00~(※24日火曜深夜)
※放送予定は変更になる場合がある。
オリジナル35mmフィルムから鮮やかに蘇る映像美
今回の放送の最大の特徴は、現存するオリジナルの35mmフィルムを元に、新たにテレビ放送用の映像として制作された点にある。公開から40年以上を経て、当時の色彩や質感が最新の技術でどのように再現されるのか、大きな注目が集まる。フィルムならではの温かみと、鮮明になった映像で、チリンの物語をより深く体験できる貴重な機会となる。
あらすじ:母を殺された子羊、憎きオオカミに弟子入りする悲劇
牧場で母親や仲間たちと平和に暮らしていた子羊のチリン。しかし、その穏やかな日々は、山から来たオオカミ・ウォーの襲撃によって無残にも打ち砕かれる。目の前で母親を殺されたチリンは、悲しみと憎しみから「オオカミよりも強くなること」を決意。なんと、母の仇であるウォーに弟子入りし、厳しい修行を開始する。
孤独と復讐心の中で成長したチリンが手に入れた「強さ」。しかしその先には、誰も予想しなかった悲しい運命が待ち受けていた。本作は、強さの本質、そして本当の幸せとは何かを観る者に鋭く問いかける。
スタッフ・声優陣:レジェンドが集結した制作陣
原作のやなせたかしをはじめ、日本アニメーション界を支えてきた豪華なスタッフ・声優陣が本作には集結している。
■スタッフ
- 原作: やなせたかし
- 監督: 波多正美
- 音楽: いずみたく
- 歌: ブラザース・フォー
- 製作: 辻󠄀信太郎
- 制作・著作: サンリオ
■声の出演
- チリン: 松島みのり/神谷明
- 母親: 中西妙子
- ウォー: 加藤精三
- 語り: 高木均
チリンの成長を、レジェンド声優である松島みのりと神谷明が演じ分けている点も見どころの一つだ。『巨人の星』の星明子役で知られる松島みのりが無邪気なチリンを、そして『シティーハンター』の冴羽獠役などで知られる神谷明が力強く成長したチリンを演じる。また、敵役であるオオカミのウォーを演じるのは、『巨人の星』の星一徹役で有名な加藤精三であり、その重厚な演技が物語に深みを与えている。
現在放送中の朝ドラ『あんぱん』に登場しら青年リンのエピソードが『チリンの鈴』を思わせるとネットでは話題になっている。このタイミングで本作が放送されるのは、意図的なのかは不明だ。
チリンの鈴©︎ 1978 SANRIO CO., LTD. APPR. NO. G660030