齊藤工が企画・プロデュースし、竹林亮が監督を務めた映画『大きな家』が、批評家たちが選ぶ「第34回日本映画批評家大賞」においてドキュメンタリー賞を受賞した。竹林監督は『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』での新人監督賞に続き、2度目の受賞となる。
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映画『大きな家』がドキュメンタリー賞の栄冠に輝く
株式会社チョコレイトが製作した映画『大きな家』(配給:PARCO)が、この度「第34回日本映画批評家大賞」のドキュメンタリー賞を受賞した。
「日本映画批評家大賞」は、映画評論家の水野晴郎氏が発起人となり1991年に設立された、現役の映画批評家たちによって選考される権威ある賞である。2025年6月9日に東京国際フォーラムで開催された授賞式には、監督の竹林亮が登壇し、喜びを語った。
竹林監督は、2022年公開の映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』で「第32回日本映画批評家大賞」の新人監督賞・編集賞を受賞しており、今回で2度目の選出という快挙を成し遂げた。
授賞式で語られた監督の想い「社会全体が大きな家に」
授賞式に登壇した竹林亮監督は、受賞の喜びを次のように語った。
『大きな家』は、児童養護施設という場所で成長していく子どもたちの日常を見つめた一本の映画です。僕が今、代理でトロフィーをいただいておりますが、これは全て、日々、子どもたちと向き合い続けている施設の職員さん、ボランティアの皆さん、何より素敵な主人公の子どもたちのものです。今日、この会場にもみんなお祝いに駆けつけてくれていますが、そんな映画になれたことが僕は一番嬉しいです。 社会全体が一つのチームになり、大きな家になり、全ての子どもたちの温かい居場所となった未来への階段の中にこの映画が存在し続けることを願っています。本当にありがとうございました。
スピーチでは、作品に関わった全ての人々、特に施設の子どもたちと職員への深い感謝が述べられ、この映画が社会的なメッセージを持つ存在であり続けることへの願いが込められた。
選考委員も絶賛した作品の哲学と向き合い方
選考委員の安田祐子氏は、竹林監督の制作チームを高く評価している。
竹林組が制作する映画ということで、とても楽しみにしていました。複数のモデルを追いながら1人ずつに焦点を当てて、散漫にならないように作品を仕上げてくれるチームなんですよね。本作はパッケージ化や配信の予定はなく、それに向けて製作陣が同じ方向を向いて、さらにお客さんが賛同して映画館に足を運んでくださっていた。その向き合い方・哲学が素晴らしいと感じています。
安田氏は、丁寧な人物描写と、配信を行わず劇場公開のみにこだわるという製作陣の哲学的な姿勢が、観客の共感を呼び、映画館へと足を運ばせる力になったと称賛した。
映画『大きな家』とは?あらすじと作品の魅力

本作は、東京のとある児童養護施設で暮らす子どもたちの日常を追ったドキュメンタリー映画である。親と離れて暮らす子どもたちが、血の繋がりのない職員や他の子どもたちとの生活の中で抱く葛藤、そして成長していく姿を、あたたかな眼差しで捉えている。
特別な事件が起こるわけではない。しかし、両親への想い、職員との関係、学校での友人関係、そして施設を出た後の未来への不安など、子どもたちの心の機微が丁寧に映し出される。観る者は、彼らの姿を通して自らの歩んできた道のりを肯定し、”ふつう”の枠を少し広げ、明日を生きる勇気をもらえるだろう。
本作は、出演者のプライバシー保護のため、配信やレンタルは一切予定されておらず、劇場でのみ鑑賞することができる。デジタルでは触れることのできない、子どもたちの“本音”に耳を傾ける貴重な機会となる。
作品概要と今後の上映情報
- タイトル:大きな家
- 公開日:2024年12月6日(金)
- 監督:竹林亮
- 企画・プロデュース:齊藤工
- 配給:PARCO
- 製作:CHOCOLATE Inc.
- 主題歌:ハンバート ハンバート「トンネル」
- 上映時間:123分
- 公式サイト:https://bighome-cinema.com/
今後の上映劇場
- 上映中:CINEMA Chupki TABATA(東京)、目黒シネマ(東京)
- 2025年6月27日(金)〜:キネカ大森(東京)
- 2025年7月4日(金)〜:シネ・ピピア(兵庫)
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