[PR]

【ネタバレあり】『Gundam GQuuuuuuX』女の子が女の子を救う話。「少女革命ウテナ」を思い出す結末


機動戦士Gundam GQuuuuuuX全12話が終了した。本当に12話で終わらせるのだろうか、と訝しんでいたのだけど、キレイに終わった。もちろん、続編を作れるような終わり方でもあったけれど。

最後に向こう側のララァがどうなったのか、シャアの死なない世界線というのは初代ファーストガンダムの正史の世界線ということか、正史は別にあってシュウジはそこから来たということでいいのか。気になる要素はまだあるので、続編もあり得るかもしれない。

全体的には、自由を求める女の子の物語として、面白く出来ていた。突破力ある快活な主人公が、かつての囚われのヒロインの心を開放していく。守られるだけの女の子じゃない存在として開放していく。そういう点では、『少女革命ウテナ』を思い出す。もちろん、ガンダムも思い出すわけだが。『セーラームーン』要素もちらついていたような気もするが。

マチュの最後の行動動機が世界を救うとかだいそれたものではなく、ララァを守りたい、彼女を開放したいという一心だったのが良かった。同時に「もうガンダムがララァを殺すのを見たくない」というアムロ(?)の想いと共鳴していくのは、ファーストガンダムの主人公の心の救いにもなっている。とても上手い構成になっていた。あとマヴシステムの意味が最後になって出てきたのも良かった。

本作は戦争を描く作品にはせずにニュータイプという人の革新についての掘り下げを優先している。難民であるニャアンのエピソードなどもっと描かれてもいいのではと思ってるが、全12話でこれだけの要素を詰め込んだので、無理だったか。世界全体や戦争のメカニズムを描くよりも、物語としてはかなり個人にフォーカスした作品で、マチュという女の子の自由を希求する気持ち、シャリア・ブルのシャアを救おうとする想い、シャアが最後に個人として生きる道を見つける描写といい、世界線をまたいで大きな物語を展開しているように見えて、個人の小さな物語を大事にしている作品だったように思う。

地球に来る夢を叶えたマチュとニャアンだけど、シュウジを3人で来るという約束はまだ果たされていない。シュウジのところにいつか行こうというマチュは、どこまでも前向きで気持ちのいい主人公だった。

やっぱり、12話ではなくもっとじっくり見たい物語だったな。ファーストへのオマージュも大事なんだろうけど、今の主人公の物語ももっと見たい。そのためにはもう1クール必要だったかなあ。

でも、この12話は楽しめた。できれば続編が見たいな。アルテイシアが擁立されたジオンもすべての火種が収まったわけでもないだろうし、まだ描ける内容は残っているし。

でも、描き切ることばかりがいいことじゃない。マチュがまだシュウジの元に行くという希望が残っているように、終わりを描くのが必ずしもいいこととは限らない。3人が再会してほしいけど、それは心の中で、というのもいい。それこそ「ウテナ」みたいだし。

少女革命ウテナ

少女革命ウテナ

川上とも子, 渕崎ゆり子, 子安武人, 草尾 毅, 三石琴乃
Amazonの情報を掲載しています