ベン・アフレックとマット・デイモンが共同設立した製作会社Artists Equity(アーティスト・エクイティ)は、ソニー・ピクチャーズと3年間の包括的な劇場公開映画契約を締結した。この契約により、ソニーはArtists Equityが開発・製作するすべての作品に対し、資金提供と全世界での劇場配給を行う。また、Artists Equityは個々のプロジェクトへの共同出資を選択できるオプションも持つ。
Artists Equityの設立理念とソニーとの提携
Artists Equityは、設立からわずか3年ながら、「Air/エア」などの話題作を手がけてきた。同社は、作品を生み出すアーティストにより多くの利益を還元することを目的として設立された。特に、ストリーミング配信の利益配分において、アーティストへの還元率を高めることを目指してきたが、今回、自社ストリーミングサービスを持たず、劇場公開にコミットするソニーと提携したことは注目に値する。
ソニー・ピクチャーズ モーション・ピクチャー・グループの会長兼CEOであるトム・ロスマンは、Artists Equityのこれまでの実績を高く評価し、「ベンとマット、そして彼らのチームが劇場市場という高い目標に照準を定めた今、ソニーは彼らと提携できることを非常に幸運に思っている。共に多くのヒット作を生み出すことを楽しみにしている」とコメントしている。
ベン・アフレックは、「ソニー・ピクチャーズ、特に20年以上の付き合いがあるトム・ロスマンと共に劇場公開作品を製作することは、Artists Equityにとって非常に重要な節目だ。トムは映画に対する深い愛情と、その製作過程への理解と評価を兼ね備えている。ソニーほど優れたパートナーは考えられない。Artists Equityは、観客と共に映画館で鑑賞されることを明確に意図した作品を製作することを目指しているからだ」と述べ、劇場体験への強い思い入れを示した。
これまでの作品と今後の展望
Artists Equityはこれまで、Netflixで配信予定のジョー・カーナハン監督のアクション映画「RIP」(デイモン、アフレック、テイアナ・テイラー、スコット・アドキンス出演)や、アフレック監督・出演の「Animals」(ジリアン・アンダーソン、スティーヴン・ユァン、ケリー・ワシントン出演)、ライオンズゲート配給のブロードウェイミュージカル翻案作品「Kiss of the Spider Woman」(ジェニファー・ロペス、ディエゴ・ルナ、トナティウ出演)など、多数のプロジェクトを手がけてきた。
これまでのリリース作品の大部分はストリーミング配信が主であったが、Amazon MGMが配給した「Air/エア」は、製作費9,000万ドルを劇場興行収入で回収し、ストリーミングでもヒットを記録するなど、劇場公開の重要性を示した。その他、キリアン・マーフィー主演の「Small Things Like These」や「The Accountant 2」も劇場公開されている一方で、「The Instigators」や「Unstoppable」はストリーミング独占配信であった。
ソニーにとって今回の契約は、劇場公開がスター性とイベント性の高い映画に依存する現代において、アフレックやデイモンのような主要なスターと継続的に協業できる機会を提供するものとなる。今後の作品ラインナップはまだ発表されていないが、両社の提携が、映画業界に新たな風を吹き込むことが期待されている。
ソース: Ben Affleck and Matt Damon’s Artists Equity Signs Overall Theatrical Deal with Sony