『パラサイト 半地下の家族』や『Anora』といった話題作を世に送り出し、アカデミー賞やカンヌ国際映画祭で旋風を巻き起こしてきた気鋭の配給会社ネオン(Neon)が、クロエ・ドモン監督の新作スリラー『A Place in Hell』の北米配給権を獲得したことが明らかになった。
本作は、5度のアカデミー賞ノミネートを誇るミシェル・ウィリアムズ、『ノーマル・ピープル』のデイジー・エドガー=ジョーンズ、そして『異人たち』のアンドリュー・スコットという、実力と人気を兼ね備えた豪華キャストが顔を揃える注目作である。
豪華キャストと製作陣が集結する新作スリラー
『A Place in Hell』は、大手刑事専門法律事務所で働く2人の女性を中心に描かれるスリラー作品だ。監督・脚本を務めるのは、サンダンス映画祭で高く評価されたNetflix映画『Fair Play/フェアプレー』でその名を轟かせたクロエ・ドモン。前作同様、緊張感あふれる人間関係と野心を鋭く描き出すドモン監督の手腕に期待が高まる。
製作は、『Fair Play/フェアプレー』でもタッグを組んだMRCと、『ナイブズ・アウト』シリーズのライアン・ジョンソンとラム・バーグマンが率いるT-Streetが担当。盤石の製作体制で、この野心的なスリラーを支える。
撮影はすでにニュージャージー州で完了しており、ポストプロダクションを経て、公開へと進んでいく。
『パラサイト』のネオンが配給・共同出資
ネオンは本作の北米配給を担うだけでなく、MRCおよびリパブリック・ピクチャーズと共に共同出資も行う。海外配給はリパブリック・ピクチャーズが担当する。
今回の契約は、ネオンのAlison Cohen、Emily Thomas、Jeff Deutchmanと、リパブリック・ピクチャーズのPeter McPartlinによって交渉された。
注目監督クロエ・ドモンと躍進を続ける配給会社ネオン
本作のメガホンをとるクロエ・ドモン監督は、ウォール街で働くカップルの関係が、昇進をきっかけに崩壊していく様を描いたスリラー『Fair Play/フェアプレー』で一躍注目を浴びた。同作は2024年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、Netflixが2,000万ドルで獲得するほどの高い評価を得た。
一方、配給会社のネオンは、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』を米国で大ヒットさせ、アカデミー作品賞に導いたことで知られる。近年もその快進撃は続いており、今年のカンヌ国際映画祭では、配給したジャファル・パナヒ監督の『It Was Just an Accident』が最高賞であるパルム・ドールを受賞。これにより、ネオンは6年連続でパルム・ドール受賞作を手掛けるという快挙を成し遂げた。
確かな審美眼と卓越したマーケティング戦略で、アートハウス系作品を次々と成功に導くネオンが手掛ける本作『A Place in Hell』。実力派キャストと気鋭の監督、そして今最も勢いのある配給会社が組んだこのスリラーが、再び映画界を席巻することは間違いないだろう。