人気声優の福山潤が、たった一人で90分間の舞台に挑む一人朗読劇『作家、46歳、独身』の東京公演が、2025年7月4日にCBGKシブゲキ!!にて開幕した。作・演出は、福山と数々の作品でタッグを組んできた岡本貴也が務める。公演初日前に行われた取材会では、福山と岡本が登壇し、この前代未聞の挑戦への意気込みを語った。
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企画の発端は福山自身の「興味」
舞台上には福山ただ一人。90分間、複数の役を演じ分けながら喋り続けるという本公演は、約2年も前に福山自身が「自分一人で朗読劇をやったらどうなるんだろうという興味がずっとあった」と、作・演出の岡本に持ち込んだ企画である。
福山は「劇的で派手な作品は、普段の声優というフィールドの中で十分やっているので、むしろ、周りから見たら地味かもしれないけど、一人の人間の生活をリアルに表現できたら」と、企画の狙いを語った。この発言に岡本が「本当に?そんなこと言っていなかったじゃん!」とすかさずツッコミを入れるなど、二人の信頼関係が垣間見える和やかな雰囲気で取材会は進んだ。
描かれるのは作家の“生々しい日常”
今作は、岡本自身の体験も一部基になっているという、とある作家の物語だ。フォトコールで公開された冒頭約20分では、仕事がなく、別居中の妻に離婚を切り出されるという、しがない作家の淡々とした、しかし切実な日常が描かれた。
主人公は、過去を回想するように「あのね、こんな1日だったんだよね……」と“誰か”に語りかける形で物語を進めていく。自信作の脚本を書き上げ、最後に別居中の妻へラブレターのつもりで送った矢先、妻から『離婚届そっちにあると思うんだけど、なるはやで出してもらえないかな?』というメッセージが届くという、皮肉な展開で観客の心を掴んだ。
“台本がない”かのような自然な演技と演出
福山といえば、イベントなどで見せる流麗なマシンガントークが知られているが、今作ではその饒舌さが主人公のキャラクターとして見事に活かされている。
特筆すべきは、その膨大なセリフをまるで暗記しているかのような自然な演技である。実際には、作家という設定を活かし、舞台セットのパソコンに表示される台本をスクロールしながら演じているという。この斬新な演出は、福山と岡本が「視覚的にも面白いパッケージにしたい」と二人で考案したものだ。福山は「演出と演者でアイディアをすり合わせながら作れたのは、メディアの仕事とまた大きく違った感覚があった」と、創作の喜びを語った。
「一人の男があがく様を楽しんで」
脚本を初めて読んだ際、福山は「文字で読むと生々しい日常過ぎて、どう演出したら楽しんでもらえるだろうか」と感じたという。岡本の実体験も交えながら稽古を進める中で、二人の仲もより深まったようだ。
岡本は「主人公が一体“誰”に語り掛けていたのかは、最後に分かる。頭を空っぽにして観に来てほしい」と語る。
最後に福山は、「こういった試みもまた面白く感じていただけたら。舞台上で一人の男が実際にあがきまくっている様を楽しんでいただけたら幸いです」と笑顔で締めくくり、公演への自信を見せた。
公演概要
福山潤 一人朗読劇『作家、46歳、独身』
- 作・演出: 岡本貴也
- 出演: 福山潤
東京公演
- 日程: 2025年7月4日(金)〜7月6日(日)
- 会場: CBGKシブゲキ!!
大阪公演
- 日程: 2025年7月11日(金)〜7月13日(日)
- 会場: 近鉄アート館
チケット情報 (全席指定・税込)
- 前3列SS席特典付き: 円
- S席: 円
- U-25(限定数販売): 円
※詳細は公式サイトをご確認ください。