祇園祭の伝統行事である「屏風飾」が、京都市中京区六角町で2025年7月13日から24日まで開催される。近年、町家の減少により継承が危ぶまれる中、今年は新たに文化サロン「mononoma」が加わり、伝統と革新が融合した展示が行われる。特に注目は、箔工芸作家・裕人礫翔氏と人気漫画『宇宙兄弟』のコラボレーション屏風だ。

目次
祇園祭「屏風飾」とは?町衆が守り継ぐ京の美意識
祇園祭期間中、京町家の格子戸を開放し、代々伝わる屏風や調度品を公開する「屏風飾」は、商家の町衆によって受け継がれてきた伝統文化である。しかし、町家の取り壊しが進む現代において、その継承は困難を極めている。
六角町から発信する「三つの宇宙」:伝統と創造の饗宴
今回の六角町の屏風飾では、以下の三会場が連携し、それぞれの「宇宙」を表現する。
吉田家の宇宙:歴史と美意識が息づく京町家
元祇園祭山鉾連合会理事長を務めた吉田孝次郎氏が、築116年の国登録有形文化財・歴史的建造物である自邸を開放する。代々の屏風に加え、吉田氏が世界中で収集した絨毯や小袖などが「孝次郎好み」にしつらえられ、来訪者を魅了する。
藤井絞の宇宙:伝統技術が織りなす染織美
1915年創業の老舗、藤井絞では、江戸時代の屏風を中心に、伝統的工芸品である**「京鹿の子絞」**の染織品を格子戸越しに展示する。伝統技術を守りながらも現代的な表現を追求する同社の世界観が披露される。
mononomaの宇宙:『宇宙兄弟』コラボ屏風が描く未来
新たに加わる文化サロンmononomaでは、箔工芸作家の裕人礫翔氏と、小山宙哉氏原作の人気漫画**『宇宙兄弟』**のコラボレーション屏風が展示される。伝統技術と物語の世界観が融合し、「物と心」「時間と空間」が調和する場から、伝統と未来をつなぐ「宇宙的な想像力」が発信される。月を目指す兄弟の夢を描いた『宇宙兄弟』は、世代を超えて希望を届けてきた。
「宇宙茶会」も同時開催:五感で味わう非日常体験
屏風飾と連動し、文化サロンmononomaでは体験型企画「宇宙茶会」も開催される。和蝋燭の静寂の中で宇宙をテーマにした薄茶を味わう特別な茶会で、希望者は自ら薄茶を点てることも可能だ。宇宙をイメージしたオリジナル和菓子や、コラボ屏風前での記念撮影も楽しめる。

会期・会場詳細
- 会期: 2025年7月13日(日)〜7月24日(木)
- ※京都生活工藝館 無名舎 吉田家の展示期間は一部異なる。
- 会場: 京都市中京区六角町
- 京都生活工藝館 無名舎 吉田家
- 藤井絞
- 文化サロン mononoma
主催者の想い:師弟の絆が紡ぐ伝統の継承
本企画は、長年にわたり六角町で屏風飾を支えてきた**師(吉田家)と弟子(裕人礫翔氏)**の信頼関係、そして藤井絞による町衆文化の実践に、新たな担い手であるmononomaが加わることで実現した。それぞれの表現が織りなす「三つの宇宙」を通して、祇園祭の精神を現代の感性で受け継ぎ、未来へと橋渡しすることが本企画の使命である。
祇園祭の伝統と現代アート、人気漫画が交差する今回の「屏風飾」。京都の歴史と未来が交錯するこの特別な機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。