2026年の公開が予定されているルカ・グァダニーノ監督の新作映画『Artificial』が、OpenAIとAI業界の主要人物たちを描き、特にイーロン・マスクの描写が物議を醸す可能性が報じられた。Puckニュースレターのマシュー・ベローニ氏が脚本草稿を読んだ内容によると、Amazon MGM Studiosが製作するこの映画は、AI業界に「ソーシャル・ネットワーク」のような波紋を広げるかもしれないという。
サム・アルトマンとイリヤ・サツケバーに焦点
『Artificial』は、OpenAIの共同創設者であるイリヤ・サツケバー(『Anora』でオスカーにノミネートされたユーラ・ボリソフが演じる予定)に焦点を当てている。ベローニ氏によると、サツケバーは「権力に飢えたアルトマンとより大きなシリコンバレーコミュニティによって利用され、周縁化され、最終的には裏切られ、人類全体に壊滅的な結果をもたらす可能性がある」と描かれている。
また、2023年11月にOpenAIのCEOを5日間解任され、その後復帰したサム・アルトマンも主要キャラクターとして登場する。脚本ではアルトマンが「嘘つきで策略家」として描かれており、彼の復帰騒動がコメディの焦点になるとされている。
イーロン・マスクの登場と衝撃的なセリフ
OpenAIの共同創設者でありながら後に袂を分かったイーロン・マスクも、本作に「小さなキャラクター」として登場する。しかし、その描写はマスク氏が「おそらく気に入らないだろう」とベローニ氏は示唆している。特に、OpenAIの元最高技術責任者であるミラ・ムラティ(モニカ・バルバロが演じる予定)のセリフとして、「イーロンは、独裁者としてはそれほど悪くない」という一節が紹介されており、これが大きな注目を集めている。
Amazon MGM Studiosの「危険な賭け」
ベローニ氏は、他のスタジオがマスク氏、アルトマン氏、そしてAIを扱う映画の製作をためらっていた中で、Amazon MGM Studiosがこの映画を製作することに驚きを示している。彼は「Amazonがこの『Artificial』を製作することは、正直少し驚きであり、称賛に値する」と述べている。
また、「もし『Artificial』が成功すれば、『ソーシャル・ネットワーク』がFacebookに与えたようなダメージをAIに与える可能性がある」と推測している。Amazon自身もAI分野で活動していることを踏まえ、ベローニ氏は「世界で最も強力な人々を、世界がこれまでに見た中で最も危険なテクノロジーを無謀に扱っていると描くのは、同社が莫大な資源とテクノロジー階層における相対的な強さを持っているとしても、依然としてリスクである」と結論付けている。
2026年の公開が待たれる本作が、AI業界にどのような影響を与えるのか、そしてイーロン・マスク氏やサム・アルトマン氏がこの描写にどう反応するのか、大きな注目が集まっている。