ホワイトハウスがドナルド・トランプ大統領をスーパーマンに見立てたミームを公開したところ、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が「スーパーマンは不法移民だった」と反論し、物議を醸している。このミームは、ワーナー・ブラザース/DCスタジオがジェームズ・ガン監督による新作映画『スーパーマン』を公開するタイミングで発表された。
ホワイトハウスがトランプ氏を「スーパーマン」に
ホワイトハウスの公式アカウントは、「希望の象徴。真実。正義。アメリカン・ウェイ。スーパーマン・トランプ」という文言とともに、映画の宣伝素材でデビッド・コレンスウェットが演じるスーパーマンの代わりにトランプ大統領の顔を合成した画像を投稿した。
これは、ジェームズ・ガン監督がタイムズ紙(ロンドン)のインタビューで「スーパーマンとはアメリカの物語だ。他の場所から来てこの国を築いた移民であり、私にとっては、根本的な人間の親切心が価値であり、私たちが失ってしまったものであるという物語だ」と発言したことに対し、MAGA(Make America Great Again)支持者や右派のコメンテーターたちが「スーパーマンが『WOKE(ポリコレに配慮しすぎ)』になった」と攻撃していた流れを受けている。ベン・シャピロやジェシー・ワッターズといった人物が、映画を観たかどうかも不明なまま、この発言を批判していた。
ニューサム知事の痛烈な皮肉
一方、カリフォルニア州知事の報道官は、このホワイトハウスの投稿にX(旧Twitter)で「スーパーマンは不法移民だった」と投稿し、注目を集めた。ニューサム知事は、ICE(移民税関執行局)による強制捜査への抗議活動に対するトランプ氏の州兵派遣を批判していた経緯がある。
知事はさらに、カマリロのカンナビス農場での強制捜査の映像を投稿し、「子供たちは催涙ガスから逃げ、母親が畑から連行されたと泣きながら電話している。トランプは私を『ニュースカム(Newscum)』と呼ぶが、彼こそが真のクズだ」と書き込んだ。
これに対し、国境警備隊のロドニー・スコット長官は、「このマリファナ施設では10人の未成年者が見つかり、全員が不法滞在者で、うち8人は単独行動だった。児童労働法違反の疑いで現在捜査中だ。これがニューサムのカリフォルニアだ」と反論した。
これに対し知事は、「カリフォルニア州は児童の搾取者や人身売買業者を起訴する。トランプは子供たちに催涙ガスを使い、親から引き離し、農業労働者を強制送還する。優先順位が違う」と再反論している。
映画の興行成績は好調を維持
スーパーマン、移民、ICEを巡るこれらの政治的議論は、現時点では映画の興行収入には影響を与えていないようだ。デッドラインのアントニー・ディ・アレッサンドロ氏によると、木曜日の先行上映で2,250万ドルを記録し、ガン監督作品としては過去最高、2025年の先行上映としても最高の数字となっている。