映画『TENET テネット』や『オッペンハイマー』で知られるクリストファー・ノーラン監督が、敬愛する伝説的アニメーション作家ブラザーズ・クエイの創作現場を捉えた短編ドキュメンタリー『Quay』。本作が2025年7月19日と20日の2日間限定で、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムにて特別上映されることが決定した。
この上映は、クエイ兄弟にとって19年ぶりの新作長編となる『砂時計サナトリウム』の公開を記念して実現するものである。
目次
ノーランが迫る、クエイ兄弟の創作の秘密
クリストファー・ノーラン監督は、過去にブラザーズ・クエイの展覧会「The Quay Brothers in 35mm」のキュレーションを手がけるほど、彼らの熱烈なファンとして知られている。
今回上映される短編ドキュメンタリー『Quay』は、ノーラン監督自らがメガホンを取り、ロンドンにあるクエイ兄弟のスタジオを訪問。彼らの創作の核心に迫った貴重な映像記録である。
作品では、唯一無二の世界観を生み出す人形たちの制作風景や、命を吹き込むための光へのこだわりなどが、クエイ兄弟自身の言葉で語られる。彼らの芸術哲学までもが垣間見える、親密なドキュメンタリーとなっている。
奇跡の35mmフィルム上映、その舞台裏
今回の特別上映は、まさに奇跡的に実現した。ノーラン監督自身のスタジオであるSYNCOPY FILMSと、英国映画協会(British Film Institute)の全面的な協力により、貴重な35mmフィルムをイギリスから取り寄せることに成功。さらに、アテネ・フランセ文化センターが字幕制作と投影に協力することで、日本での上映が実現した。
『Quay』は、『砂時計サナトリウム』との併映という形で上映される。
クエイ兄弟の原点『ベンヤメンタ学院』も特別上映
さらにファンには嬉しいニュースとして、クエイ兄弟が1995年に発表した初の長編映画『ベンヤメンタ学院』の上映も決定した。彼らの原点ともいえる作品をスクリーンで鑑賞できる、またとない機会となるだろう。
19年ぶりの新作長編『砂時計サナトリウム』とは
今回の記念上映のきっかけとなったブラザーズ・クエイ19年ぶりの新作長編『砂時計サナトリウム』。そのあらすじは以下の通りである。
青年ヨゼフは、忘れられた支線を走る幽霊のような列車に揺られ、死の床にある父を見舞おうと遠く離れたガリシア地方にあるサナトリウムを訪れる。到着したサナトリウムは、既に活気を失い、怪しげな医師ゴッタルダによって仕切られていた。彼はヨゼフにこう告げる。「あなたの国から見ればお父様は亡くなったが、ここではまだ死んでいません。ここでは、一定の間隔で常に時間が遅れているのです。その間隔の長さは定義できません」。やがてヨゼフは、そのサナトリウムが現実と夢の狭間に漂う世界であることに気づき、そこでは時間も出来事も、目に見える形をとって存在することができないと知る。
上映情報まとめ
- 作品名:
- 短編ドキュメンタリー『Quay』(監督:クリストファー・ノーラン)
- 長編アニメーション『砂時計サナトリウム』(監督:ブラザーズ・クエイ)
- 上映日: 2025年7月19日(土)、20日(日)の2日間限定
- 上映形式: 『砂時計サナトリウム』と併映
- 劇場: シアター・イメージフォーラム(東京・渋谷)
- 特別上映:
- 長編実写『ベンヤメンタ学院』(監督:ブラザーズ・クエイ)も同劇場で上映決定