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Z世代がフロリダの老舗映画館を復活!85年の歴史を繋いだ26歳の挑戦


フロリダ州セント・ピート・ビーチで、閉館から10年以上が経過した老舗映画館が、26歳の若き女性の手によって息を吹き返した。Z世代の映画館離れが懸念される中、ハンナ・ホックマン氏の挑戦は地域社会の新たなハブを生み出し、全米から注目を集めている。

 

85年の歴史を持つ映画館、Z世代が再建

2025年7月18日、フロリダ州セント・ピート・ビーチにある築85年のインディーズ映画館「ザ・ビーチ・シアター」が、満員の観客を迎えてリニューアルオープンした。この一大プロジェクトを率いたのは、弱冠26歳のハンナ・ホックマン氏だ。

16ヶ月に及んだ改装プロジェクトは、内装の解体から設計、再建まで多岐にわたった。ホックマン氏はこの過程を自身のYouTubeチャンネルで記録・公開し、多くの共感を呼んだ。

彼女は「私の世代は常にスマートフォンを見ていると思われがちだが、安全で快適な場所に集まりたいという強い欲求がある」と語る。かつて地域の若者が集ったショッピングモールのような場が失われた今、映画館がその役割を担えると信じているのだ。

 

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10年以上閉館、困難を極めた再生への道

「ザ・ビーチ・シアター」は1940年に開館して以来、地域の文化拠点として親しまれてきた。しかし、脚本家であった最後のオーナー、マイケル・フランス氏が2012年に閉館。その後、フランス氏が亡くなり、劇場は10年以上にわたって廃墟同然の状態で放置されていた。

この歴史ある建物を2024年初頭に100万ドルで購入したのは、ホックマン氏の両親である。両親が資金を提供し、ハンナ氏が再建の全責任を負う形でプロジェクトは始動した。

しかし、その道のりは平坦ではなかった。老朽化した壁、電気配線、空調、屋根はすべて刷新が必要だった。さらに改装途中にはハリケーン「ヘレン」が直撃し、劇場内に約1.8メートル(6フィート)の浸水被害をもたらすという危機にも見舞われた。幸い、内装が施される前だったため、致命的な損害は免れた。

ホックマン氏は内装にもこだわり、「シーグラス」をテーマカラーとした色彩設計や、ステージを彩る金色の貝殻型フットライト、快適性を追求した175席の客席など、細部にまで情熱を注いだ。

 

映画とライブパフォーマンスで収益多角化

ホックマン氏が掲げる運営戦略の核は、ユニークな体験の提供だ。「他の劇場では観られないニッチな作品こそが鍵になる」と彼女は語る。観客が生まれる前に公開された名作を上映するレパートリー上映や、地元の映画製作者が手掛けたインディーズ映画を積極的に紹介していく方針だ。

再オープン後、元オーナーのフランス氏に敬意を表して上映された『ゴールデンアイ』は、多くの観客を集め、熱狂的に迎えられた。

さらに、映画上映だけでは持続的な経営は難しいと判断。ボーカルグループのコンサートや劇団によるライブパフォーマンスを積極的に導入し、収益の多角化を図る。すでに今後のスケジュールには、映画上映と同数のライブイベントが組まれている。これは、他では体験できないイベントとして、より高い集客力と収益性を見込めるからだ。

地域コミュニティの希望の光へ

グランドオープンには、ハリケーンで自宅が被害を受け、まだ避難生活を送っている住民も映画のチケットを買い求めに訪れたという。「ザ・ビーチ・シアター」の復活は、単なる商業施設の再開にとどまらず、地域コミュニティにとっての希望の象徴となっている。

ホックマン氏は、ジョージア州ダラスで市が再建し、町の活性化に大きく貢献した「ダラス・シアター」をビジネスモデルに挙げ、この映画館がセント・ピート・ビーチ全体のハブになることを目指している。

彼女は、新しい床を設置する前に、古い乾式壁に未来へのメッセージを書き残した。

「次にこの床を剥がす女の子へ。幸運を祈る」

この言葉は、文化とコミュニティの灯を未来へ繋いでいこうとする彼女の強い意志を物語っている。

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