メディア調査会社のメディア・パートナーズ・アジア(MPA)が発表した最新のレポートによると、2025年第2四半期において、東南アジアのプレミアムビデオオンデマンド(SVOD)市場は、加入者数が150万人以上純増し、第1四半期の2倍近い急成長を遂げたことが明らかになった。この成長の主な牽引役は韓国ドラマであり、市場全体の視聴時間の35%を占めている。
韓国ドラマとコネクテッドTVが市場拡大を後押し
MPAが運営する測定プラットフォーム「ampd」のデータによると、2025年第2四半期における東南アジア主要5市場(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)の総視聴時間は31億時間を超えた。特にコネクテッドTV(CTV)の普及が視聴時間の増加を後押ししており、市場全体の成長に大きく貢献している。
MPAのエグゼクティブ・ディレクターであるヴィヴェック・コウト氏は、「インドネシア、タイ、フィリピンがこの地域の加入者増をリードした。コネクテッドTVでの視聴増加と、韓国、タイ、インドネシアといったアジアのローカルコンテンツへのエンゲージメントの高まりが、視聴者と加入者の両方を増やす原動力となっている」と分析する。
現在、市場の視聴シェアはNetflix、Viu、Vidio、iQIYI、WeTVの6つのプラットフォームが85%以上を占める寡占状態となっている。
Netflixが首位を堅持、Viu・iQIYIが猛追する市場構造
市場のリーダーであるNetflixは、東南アジア全域で高い浸透率を誇り、1280万人の加入者数で首位の座を維持している。
しかし、地域発のプレイヤーも急速に勢力を拡大している。香港を拠点とするViuは、マレーシアやインドネシアのオリジナル作品を武器に、特にインドネシアとタイで急成長を遂げ、加入者数を990万人に伸ばした。また、中国発のiQIYIもタイとインドネシアで著しい成長を見せている。このNetflix、Viu、iQIYIの3社で、第2四半期の新規加入者純増数の60%以上を占めた。
一方、Disney+$はフィリピンでの的を絞ったプロモーションが奏功し成果を上げたほか、他地域では安定した状態を維持している。インドネシア市場では、地元の$Vidioがスポーツ配信やオリジナル作品で強みを発揮し、500万人の有料会員を擁する同国のカテゴリーリーダーであり続けている。
ローカルコンテンツの台頭と国境を越えるタイドラマ
地域全体で韓国ドラマが圧倒的な人気を誇る一方で、ローカルコンテンツの存在感も増している。特にインドネシアとタイでは、ユーザーの44〜46%が自国のコンテンツを視聴しており、その重要性が高まっている。
MPAのリードアナリストであるディヴィヤ・T氏は、「タイのシリーズは国境を越えて共感を呼んでおり、インドネシアではVidioの若者向けアクションオリジナル作品がエンゲージメントを深めている」と指摘する。
タイのコンテンツはNetflixやiQIYIを通じて海外に配信され、人気が拡大している。また、マレーシアとインドネシア間では、ホラーや宗教をテーマにしたドラマの相互流通も活発化している。さらに、WeTV、iQIYI、Viuなどのフリーミアムサービスでは、中国ドラマが引き続き高いエンゲージメントを獲得している。
今回の調査データは、MPAが2025年第2四半期から新たにコネクテッドTV(CTV)を測定対象に加えた「ampd」プラットフォームによるものである。これにより、携帯電話、CTV、PC、タブレットなど、あらゆる主要デバイスにおける実際のストリーミング視聴行動を包括的に把握することが可能となった。