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韓国ドラマ『パイン ならず者たち』第1話レビュー。70年代韓国の熱気が蘇る海洋冒険ロマンの幕開け


ディズニープラスで配信が始まった韓国ドラマ『パイン ならず者たち』。その第1話「うわさ」を早速視聴した。1970年代の韓国を舞台にした、お宝探しを巡るクライムアクションだ。こういう往年の冒険活劇の匂いがする作品は、期待せざるを得ない。

韓国ドラマはこの手の犯罪ものを描かせたら本当に上手い。

 

凸凹コンビが挑む一世一代のヤマ

本作は、1970年代の韓国を舞台にしたクライムアクションだ。腕っぷしは強いが向こう見ずな青年ヒドンと、口は達者でずる賢いがどこか情けない叔父。この凸凹コンビが泥棒稼業で日銭を稼ぐところから物語は始まる。この時代の貧しくも活気のある韓国の町並みの再現度がとにかくすごく、美術チームのこだわりが感じられる。

ある日、叔父のミスのせいで刑務所に入ることになったヒドンは、そこで陶磁器職人の老人ソン社長と出会う。この出会いが、彼らの人生を大きく揺るがすことになる。出所後、ソン社長は二人に「海に沈んだ古代の陶磁器を引き揚げれば大金になる」という危険な仕事を持ちかける。

報酬に目がくらみ、この一世一代のヤマに挑むことを決意する二人。しかし、この話には多くの人間の欲望が渦巻いていた。この辺りの、一癖も二癖もある連中が集まってくる展開は、まさにクライムムービーの王道といった筋立てである。

個性的なキャラクターと重厚なドラマの予感

あらすじや世界観の設定だけじゃなく、韓国ノワールといえばこういう描写だよね、というシーンが満載だった。

まず、主人公ヒドンと叔父のキャラクター造形が素晴らしい。喧嘩は強いが単純なヒドンと、臆病だが機転が利く叔父のコンビネーションは見ていて飽きない。

そして、彼らを取り巻くキャラクターも魅力的だ。船の手配のために訪れた場所で出会う、ミステリアスな雰囲気を持つベリーショートの女性ソンジェ。お宝を狙う大企業の会長夫妻の不穏な動き。そして、ソン社長が監視役として付けたデシクに加え、会長が送り込んできた全身傷だらけの危険な男イム。

第1話の終盤、この即席チームは早速列車内で大立ち回りを演じてしまう。特に血気盛んなヒドンとイムの衝突は、この先の波乱を予感させるに十分だ。チームとしてうまく機能するのか、それとも内側から崩壊するのか、先が思いやられる展開にワクワクさせられる。

「第一話」と銘打っているだけあって、物語はまだ本格的に始動したばかり。お宝探しのチームが結成され、これから海へ向かうというところで終わる。この終わり方も、昔の連続活劇っぽくて続きが気になって仕方がない。単なるお宝探しに終わらない、骨太な人間ドラマとバイオレンスにあふれた作品になりそうだ。第2話の配信が待ち遠しい。