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『パイン ならず者たち』第2話レビュー。深まる謎と権謀術数、お宝探しの前途多難


第1話で個性的な凸凹チームが結成され、いよいよ海洋冒険ロマンの幕開けかと思いきや、そうは問屋が卸さないのがこのドラマの面白いところだ。第2話は、お宝が眠る港町を舞台に、それぞれのキャラクターが抱える過去のドラマと現在の思惑がさらに複雑に絡み合っていく。一筋縄ではいかない群像劇の面白さが、一気に加速した回だった。

 

死んだはずの男と、一筋縄ではいかない港町の住人たち

物語は意外な過去のシーンから始まる。1976年、大企業のチョン会長の妻ジョンスクの前に、死んだはずの男が現れる。それは、第1話のラストでチームに合流した危険な男、イムだった。新聞の沈没事故の記事では「行方不明」となっていた彼が、なぜ会長の妻の前に……?この二人の間に一体何があったのか。いきなり重厚なサスペンスが提示され、物語にグッと引き込まれる。

一方、舞台は現代に戻り、港町に到着したヒドン、叔父、デシク、イムの4人。早速、お宝引き揚げの拠点となる宿や船の手配に奔走するが、出会うのは学歴にこだわる宿の主人や、一癖も二癖もある船長など、一筋縄ではいかない連中ばかり。おまけに第1話で揉めたチンピラや、彼らと繋がりのある強面の警官ホンギまで絡んできて、事態はどんどんややこしくなっていく。このごちゃごちゃした感じが、いかにも70年代の韓国ノワールっぽくて最高だ。

 

渦巻く欲望と裏切り、ままならない計画

このドラマの真骨頂は、単なるお宝探しに終わらない、人間たちの欲望が渦巻く群像劇にある。叔父はソン社長に追加資金を要求する一方、その裏ではチョン会長から「イムを消せ」という密命を受けていたことが明らかになる。会長は、妻ジョンスクとイムの過去の関係をどこまで知っているのか。人間関係のドロドロした部分が顔を出し始め、物語の緊張感が一気に増してきた。

チーム内も不協和音が鳴りっぱなしだ。いがみ合うヒドンとイムだが、イムが語る過去の沈没事故の経験、「裏切りは禁止だ」という言葉には重みがある。彼もまた、地獄を生き延びてきた男なのだ。この反発しあう二人が、いつか固い絆で結ばれる日が来るのか、それとも破滅的な対立を迎えるのか。このハラハラ感がたまらない。

さらに面白いのが、肝心のお宝探しの計画がまったく思い通りに進まないところだ。宝の正確な場所を知る唯一の男は刑務所の中。協力を仰ごうとした別の男には警察と間違われて逃げられる。このままならなさが、物語に妙なリアリティとユーモアを与えている。おまけに、新たなライバルとなりそうなインテリ風のキム教授まで町に現れ、前途多難っぷりに拍車がかかる。

第2話は、物語の背景にある謎を深め、お宝を巡る権謀術数の渦を鮮やかに描き出した。誰が味方で、誰が敵なのか。ヒドンと叔父は、この魑魅魍魎が跋扈する世界で一攫千金の夢を掴むことができるのか。ますます目が離せなくなった。早くも第3話が待ちきれない。