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YouTubeがゴルフを「クール」に変えた? 新世代インフルエンサーが牽引するゴルフ人気再燃の理由


かつては年配のスポーツと見なされがちだったゴルフが、YouTubeを舞台に若い世代の間で爆発的な人気を博している。個性豊かなクリエイターたちが発信する、リラックスした雰囲気の新しいゴルフコンテンツは「YouTube Golf」と呼ばれ、ゴルフの楽しみ方を根本から変えつつある。本記事では、この現象の背景と、ゴルフ界に起きている地殻変動について解説する。

「YouTube Golf」の台頭:堅苦しいレッスンからの脱却

YouTubeというプラットフォームにおけるゴルフコンテンツは、長らく存在していた。しかし、その多くは英国のティーチングプロがスイングの修正方法を教えるような、伝統的で堅苦しいレッスン動画が中心だった。

しかし現在、その様相は一変した。若く、個性的なクリエイターたちがチームを組み、高級ゴルフコースを舞台に、お酒やユニークな挑戦企画を交えながらプレーを楽しむ。シャツの裾はパンツから出し、プレー中の会話や冗談が飛び交う。こうしたエンターテイメント性の高いコンテンツが、新たなファン層を惹きつけているのだ。

代表的なチャンネルとして、190万人の登録者を誇る「Good Good」、110万人の「Bob Does Sports」、そして54万人の「Barstool Sports’ Fore Play」などが挙げられる。彼らの動画は、もはや単なるスポーツの記録ではなく、プレーヤーたちの人間性や関係性を楽しむリアリティショーに近いものとなっている。

コロナ禍が生んだ新世代ゴルフクリエイター

「YouTube Golf」が今日のような形で隆盛を極めた背景には、新型コロナウイルスのパンデミックがある。「Not a Scratch Golfer」として活動するアダム・ファイン氏は、「パンデミックで退屈していた。ゴルフをしながら、もっと生産的なことをしたいと思ったのがきっかけだ」と語る。

同時期に設立された「Good Good Golf」は、まさにその時流に乗り、急成長を遂げた。創業者のマット・ケンドリック氏は、釣り具ブランド「Googan Squad」で成功したビジネスモデル(YouTubeチャンネル開設→オリジナルグッズ販売→Eコマース展開)をゴルフに応用。現在、「Good Good」はゴルフライフスタイルブランドとして絶大な成功を収め、月間収益の75%をアパレル販売が占めている。

トッププロも参入!イメージ戦略にYouTubeを活用

この新しい波は、トッププロゴルファーにも影響を与えている。その最大の受益者であり貢献者の一人が、LIVゴルフに所属するスター選手、ブライソン・デシャンボーだ。かつてはスロープレーや分析的なプレースタイルで知られ、好意的とは言えないイメージを持たれていた彼だが、YouTubeチャンネルを開設。自身の素顔やトレーニング風景を公開することでイメージの刷新に成功し、今や230万人以上の登録者を抱える人気YouTuberとなった。

視聴者層と新たな収益モデル

YouTube Golfの視聴者層は、広告主にとって非常に魅力的だ。アダム・ファイン氏のチャンネルでは、視聴者の98%以上が男性で、その大半が25歳から54歳の購買力のある層だという。「私よりも100倍再生されるチャンネルより、私のほうが収益が高いこともある」と彼は語る。ファイン氏はアパレル事業に参入せずとも、数年以内に年間100万ドル(約1億5000万円)の収益を達成する道筋が見えているという。

また、元プロゴルファーでインフルエンサーのペイジ・スピラナック氏は、Instagramで400万人のフォロワーを獲得し、その人気を武器にYouTubeでも成功を収めている。彼女の存在は、SNSでの人気がYouTube Golfの成功に直結することを示している。

ゴルフの未来を変えるYouTubeの力

クリエイターたちが牽引する「YouTube Golf」は、単なるトレンドに留まらない可能性を秘めている。パー3リーグ「Grass League」の共同設立者であるジェイク・ホーセルトン氏は、「クリエイターゴルフは、このゲームのソーシャルな領域を乗っ取った」と指摘する。

さらに彼は、「ゴルフが伝統的に放送されてきた方法は、新しい消費者向けに作られていない。最終的にはYouTube Golfの『スタイル』が、スポーツそのものを支配するだろう」と予測する。

選手のスイング理論やクラブ選択といった技術的な側面よりも、選手の個性や人間性に焦点を当てるYouTubeのコンテンツは、ゴルフというスポーツの消費形態を再定義し、新しい世代にとって「クール」なものへと変貌させた。この動きは、今後ゴルフ界全体の放送やマーケティングのあり方に大きな影響を与えていくことになりそうだ。

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