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ソニーCEO、大ヒット作『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』のNetflix売却に本音「劇場公開も可能だった」― 決断の裏側と続編の行方を語る


ソニー・ピクチャーズのCEOであるラヴィ・アフージャ氏が、Netflixで大ヒットを記録したアニメ映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の配信権売却について、当時の判断は正しかったとしつつも、後から考えれば劇場公開で成功した可能性もあったとの見解を示した。続編の権利関係や、今後の映画業界におけるソニーの戦略についても語られた。

Netflixへの売却は「正しい判断」だった

ラヴィ・アフージャCEOは、バンク・オブ・アメリカが開催したカンファレンスで、アナリストからの質問に答える形で『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』のNetflixへの売却について言及した。

同氏は、「当時としては理にかなった判断だった」と述べ、その理由を次のように説明した。 「パンデミックの最中であり、K-POPをテーマにした非常に特殊な映画だった。Netflixは制作費の全額に加え、我々に利益プレミアムまで支払ってくれた」 この発言から、不確実な市況の中でリスクを回避し、確実に利益を確保するというスタジオとして合理的な経営判断があったことがうかがえる。

「後から考えれば…」劇場公開への未練も

一方でアフージャ氏は、同作がNetflixで記録的なヒットとなったことを受け、「後から考えれば、もしかしたら劇場公開も可能だったかもしれないと思う」と率直な心境を吐露した。

実際にNetflixは同作のシングアロング(一緒に歌える)バージョンを一部の劇場で1週末限定で公開し、大手シネコンチェーンAMCでの上映がなかったにもかかわらず、約2000万ドル(約30億円)近い興行収入を上げる成功を収めている。

この事実は、同作が劇場公開作品としても十分なポテンシャルを秘めていたことを示唆しており、アフージャ氏の発言の背景となっている。

なぜNetflixが「正しいホーム」だったのか

劇場公開の可能性に触れつつも、アフージャ氏は最終的に『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の「正しい家(Right Home)はNetflixだった」と結論づけている。

その理由として、劇場公開と配信プラットフォームにおけるヒットの仕方の違いを挙げた。 「劇場公開映画は、素早く文化的なインパクトを与える必要がある。一方、この作品はNetflixで配信が開始され、口コミで人気が広がっていった。劇場で同じことをするのは非常に難しい」 同氏は、Netflixのプラットフォームが持つ口コミによる拡散力が、本作の成功に不可欠だったと分析している。

続編はソニーが制作、しかしフランチャイズ権はNetflixに

ファンが期待する続編についても言及があった。アフージャ氏は、続編の制作協議がすでに始まっていることを明かし、その制作はソニー・ピクチャーズが担当すると述べた。

しかし、マーチャンダイジング(商品化権)を含むフランチャイズ全体の権利はNetflixが所有している。ソニーミュージックが一部の音楽権利を保持しているものの、シリーズの根幹をなす権利はNetflix側にあるという複雑な構造が明らかになった。

厳しさを増す劇場公開とソニーの未来戦略

アフージャ氏は、今後の映画興行に対しては楽観的な見方を示し、来年公開予定の『スパイダーマン』や『ジュマンジ』の新作に期待を寄せた。

しかし同時に、劇場公開されるためのハードルはかつてなく高くなっていると指摘する。 「以前はスーパーヒーロー映画であれば、ほぼ間違いなく大ヒットした。しかし今では、スーパーヒーロー映画でさえ、独創性や観客との感情的なつながりといった何か特別なものが求められる」 これからの映画は、単なる作品ではなく「文化的なイベント」でなければならないと、同氏は強調した。

ソニー・ピクチャーズの今後のビジョンとして、アフージャ氏は「一貫した安定的な成長」を掲げ、体験型エンターテインメント(アラモ・ドラフトハウスの活用)や、まだどのメディア企業も成功していない「クリエイターエコノミー」との連携も模索していく考えを示した。

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