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トランプ政権と対立した米判事の自宅が全焼、家族3人重傷。殺害予告との関連は? サウスカロライナ州で捜査


トランプ政権の政策に批判的な判断を下したことで注目されていたサウスカロライナ州の判事、ダイアン・グッドスタイン氏の自宅が全焼する火災が発生した。この火災で判事の家族3人が重傷を負っており、警察が詳しい原因を調査している。判事は火災発生の数週間前から殺害予告を受けていたとの報道もあり、事件との関連が注目されている。

事件の発生と捜査状況

火災は土曜日の午前11時半頃、サウスカロライナ州エディストビーチにあるグッドスタイン判事の自宅で発生した。地元ニュースメディアFITSNewsによると、火災当時、判事本人は不在だったが、夫である元民主党州上院議員のアーノルド・グッドスタイン氏とその息子を含む家族少なくとも3人が自宅におり、重傷を負って病院に搬送された。

現場に駆けつけた消防隊によると、住人はカヤックを使って救助されたという。

当初、州最高裁長官のジョン・キットレッジ氏はFITSNewsに対し、火災は「爆発」によって引き起こされた可能性があると語っていた。しかし、捜査を主導するサウスカロライナ州法執行局(SLED)のマーク・キール局長は月曜日の声明で、「SLED捜査官の予備調査では、火災前の爆発を裏付ける証拠はない」とこれを否定した。

キール局長はさらに、「現時点では、火災が意図的に起こされたことを示す証拠はない」と述べ、捜査は現在も活発に進行中であると強調。「市民、公職者、そして報道関係者には、未確認の情報を共有しないよう、良識ある行動を強く求める」と付け加えた。

火災の背景か、トランプ政権との対立

複数の情報筋がFITSNewsに語ったところによると、69歳のグッドスタイン判事は、火災に至るまでの数週間、殺害予告を受けていたという。

その背景には、先月判事が下したある司法判断がある。判事は、州の選挙管理委員会が保有する有権者ファイルを司法省に提出することを一時的に差し止める命令を出した。この判断は、トランプ政権の司法省公民権局長補佐官であるハーミート・ディロン氏から公然と批判されていた。その後、この差し止め命令は州最高裁判所によって覆されている。

司法省が要求していたのは、ドナルド・トランプ大統領が3月に署名した「非市民の有権者登録を制限する大統領令」に基づき、300万人を超える登録有権者の氏名、住所、運転免許証番号、社会保障番号などの個人情報であった。(連邦および州の選挙において、非市民の投票はすでに禁止されている)

有権者データを巡る政権の動きと批判

トランプ政権は「選挙の完全性」を名目に、州の有権者登録データを要求、場合によっては訴訟を起こすことで、包括的な中央集権型データベースの構築を目指してきた。これまで30以上の州にデータ提出を求めており、州の選挙管理当局者に対する刑事捜査も検討しているとされる。

これに対し批判的な立場の人々は、政権の動きを「社会から疎外されたコミュニティに属する有権者の権利を奪う試み」であり、「選挙手続きを管理する州の憲法上の権限を越えるものだ」と主張している。

強まる政権の司法への圧力

トランプ政権による司法への圧力は、この一件にとどまらない。グッドスタイン判事の自宅火災が発生する数時間前には、トランプ大統領の首席補佐官代理であるスティーブン・ミラー氏が、オレゴン州での州兵動員を阻止する一時的差し止め命令を出したカリン・イマーグート連邦地裁判事を「法的な反乱」と非難した。

このミラー氏の発言に対し、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は、「判決を下したことで判事を非難するのは、単に無謀なだけではない。明白かつ単純な権威主義的プロパガンダだ」と強く反発している。

今回の火災が事故なのか、あるいは政権と司法の対立が激化する中で起きた意図的な事件なのか、SLEDによる捜査の進展が待たれる。

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