カリフォルニア州で、NetflixやHuluなどのストリーミングサービスにおけるコマーシャル(CM)の過度な音量を規制する新たな法律が成立した。ギャビン・ニューサム州知事が法案「SB 576」に署名したことで、視聴体験の向上に向けた大きな一歩となる。
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新法の概要と背景
今回成立した新法は、ストリーミングサービス事業者に対し、「広告の音声を、それが付随するビデオコンテンツよりも大きな音量で送信すること」を禁止するものだ。この法案は州議会を全会一致で通過しており、消費者からの強い支持が背景にあることがうかがえる。
これまで、突然大音量で流れるCMは多くの視聴者にとって不快な体験の原因となっていた。新法はこの問題に直接対処するものであり、コンテンツ本編と広告との間での急激な音量変化をなくすことを目的としている。
ニューサム知事「カリフォルニア州民の声をはっきりと聞いた」
ニューサム知事は法案署名にあたり、「我々はカリフォルニア州民の声を大きく、そしてはっきりと聞いた。明らかなのは、彼らが楽しんでいた番組の音量レベルを超えてコマーシャルが流されることを望んでいないということだ」との声明を発表した。
この発言は、今回の法規制が消費者の直接的な不満に応えるものであることを明確に示している。
テレビ放送には既存の連邦法、ストリーミングにも規制拡大
米国では、2010年に成立した連邦法「CALM法(Commercial Advertisement Loudness Mitigation Act)」により、すでに地上波テレビ放送やケーブルテレビ事業者が大音量のCMを放送することは禁止されていた。
しかし、この連邦法の規制対象は従来の放送事業者に限定されており、近年急速に普及したストリーミングサービスは対象外となっていた。広告付きプランの導入を進めるストリーミング大手が増える中、カリフォルニア州の今回の新法は、現代の視聴環境に合わせて規制を拡大する重要な動きとなる。
法案提出のきっかけは「眠る赤ちゃんと格闘する親」
法案の共同提案者であるトーマス・ウンバーグ上院議員は、法案提出の動機について具体的なエピソードを明かしている。
「この法案は、ようやく赤ちゃんを寝かしつけたにもかかわらず、けたたましいストリーミング広告のせいで、その努力が水の泡になってしまう全ての疲れた親たち、そして(私の知る)赤ちゃんサマンサから着想を得たものだ」と語った。
このコメントは、新法が単なる技術的な規制ではなく、人々の日常生活の質を向上させることを目指したものであることを象徴している。カリフォルニア州でのこの決定が、米国内の他の州や世界のストリーミング業界全体にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。