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【NYタイムズ】「内戦の兆し」トランプ政権下のミネアポリスで起きている連邦政府の制圧と市民の抵抗


ニューヨーク・タイムズ(NYT)は1月19日、オピニオン・コラムニストのリディア・ポルグリーン氏による記事「In Minneapolis, I Glimpsed a Civil War(ミネアポリスで見た内戦の片鱗)」を掲載した。

記事は、トランプ政権による移民取り締まり作戦が強化される中、ミネソタ州ミネアポリスが連邦捜査官による事実上の「占領下」にあり、市民と連邦政府との間で緊張が極限に達している現状を伝えている。

住宅街に現れた「戦場」の装備と高まる緊張

ポルグリーン氏は先週水曜日の深夜、ノース・ミネアポリスの住宅街で異様な光景を目撃したと記している。そこにいたのは、イラク戦争の激戦地ファルージャでの戦闘にも耐えうる完全装備――ボディアーマー、軍用ブーツ、迷彩服、ヘルメット、そして重機関銃――で武装した連邦捜査官であった。

現場では、ICE(移民税関捜査局)による一般市民の射殺事件に抗議する市民に対し、武装した捜査官が対峙していた。捜査官が凍結した路面で転倒し、自動小銃の弾倉(マガジン)を落とすという一幕があった際、近くにいた市公園局委員のダン・エンゲルハート氏は、その弾倉を拾い上げこう語ったという。

「我々は内戦の一歩手前にいる」

長年、海外の紛争地を取材してきたポルグリーン氏でさえ、かつて穏やかだった故郷ミネソタで催涙ガスを浴び、重武装した連邦政府のエージェントが住宅街を闊歩する光景に、「アメリカ国内で内戦が勃発するなどという考えには懐疑的だったが、現実を目の当たりにした」と衝撃を隠さない。

「オペレーション・メトロ・サージ」という名の恐怖支配

現地で展開されているのは、ホワイトハウスが「オペレーション・メトロ・サージ(Operation Metro Surge)」と呼ぶ作戦である。記事によれば、これは単なる移民法執行の枠を超え、トランプ政権の意に沿わない都市に対する見せしめ的な「占領」の様相を呈している。

不法移民だけでなく、単に「外国人のように見える」という理由だけでアメリカ市民が拘束され、先住民までもが不法移民の疑いで連行されているという。セントポールのカオリー・ハー市長(3歳で難民として渡米)でさえ、いつ拘束されてもいいように市民権の証明書を常時携帯していると語っている。

ミネソタ州のキース・エリソン司法長官は、ポルグリーン氏に対し次のように述べている。 「これは専制政治だ。誰もアメリカがこのような姿になるとは思っていなかった。アメリカ流のファシズムがどのようなものか、もはや推測する必要はない。それはすぐドアの外にあるのだから」

なぜミネソタが標的になったのか

記事は、ミネソタ州がトランプ政権にとって特異なターゲットである理由を分析している。ミネソタ州の不法移民比率は全米平均の半分以下であり、テキサスやフロリダ、ニューヨークと比較しても低い。しかし、トランプ政権はソマリア系コミュニティを標的にし、彼らに対する人種差別的な言辞を繰り返している。

その背景には、ミネソタ州が過去50年間、共和党の大統領候補を選出しておらず、進歩的な政治の牙城であり続けているという事実がある。トランプ氏は、同州の約10万人のソマリア系住民への敵意を煽ることで、白人層の支持を取り付けようとしているが、ミネソタ市民はその挑発に乗る様子はないとポルグリーン氏は分析する。

「氷を削る」市民の静かなる抵抗

トランプ政権は反ICE活動家を「過激な扇動者」として描こうとしているが、ポルグリーン氏が現地で出会ったのは、ごく普通の市民たちであった。

高校生の親たちがグループを結成し、登下校時の生徒をICEから守るためにパトロールを行っている。太陽光エネルギーコンサルタントの女性ヒラリー・オップマン氏は、寒空の下で監視活動に参加していた。彼女は「ミネソタ人は氷を削る(困難に対処する)のが得意だ」と語り、恐怖による支配に屈しない姿勢を示している。また、先住民コミュニティも移民たちを守るために強力な連帯を見せている。

記事は、連邦捜査官や大統領が、ミネソタの人々を見誤っていると結んでいる。彼らは重装備の兵士ではなく、不動産業者や高校生、主婦といった普通の市民であり、隣人が連れ去られることを「許されざる罪」と捉え、団結して抵抗しているのだと。