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台湾映画の音の歴史を追いかける『擬音 A FOLEY ARTIST』のレビューを書きました

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 リアルサウンド映画部に、台湾のドキュメンタリー映画『擬音 A FOLEY ARTIST』のレビューを書きました。

 “音”を知ればもっと映画が豊かになる! 『擬音 A FOLEY ARTIST』が映画史に投じた一石|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 これは、台湾映画界の伝説のフォーリー・アーティスト・フー・ディンイーさんを追いかけたドキュメンタリーです。

 映画において、音は映像と同じく重要要素です。この映画はそのことを音を使って絶妙に伝える作品でした。また、台湾映画の歴史を音の観点から振り返るという側面もあり、ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンなどで有名な台湾ニューウェーブ以前と以後で音のあり方が異なっていることなど、多面的なことを知れる作品になっています。昔の台湾映画は基本的に吹き替えだったんですね。それが、ニューウェーブのころから同時録音でリアリズムにこだわりだしたそうで。

 
 日本との関係や(アフレコスタジオでは、本番のレコーディングに入る掛け声として日本語の「本番」が使われているそうです)、大陸の映画産業との関係など、東アジアの現代史も浮かび上がる内容です。映画好きな人にはとっても面白い内容のはずです。
 
 
 以下、原稿作成時のメモと構成案です。
 
 

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Thesis
映画の音の可能性と歴史。。。。この映画を通じてそれを知る

Point3つ
音の発展を通して台湾映画の歴史を浮かび上がらせる
  全て吹替の時代から、リアリズムの時代へ
  東アジア全域、本土や香港とのつながり
音の持つイメージの喚起力、空間創出力・・・冒頭のシーン
映画にとって音とは何か
  
 
Intro
映画は映像と音の芸術だ。二つは密接で分かちがたいものである。

だが、映画批評は映っているものには気を配るが、それに比して音は重要視されていない。明白な主従関係を持たされている。

実際には、映画は音のない時代はなかった。サイレント映画期でさえも。

この映画は、音の歴史と大切さについて見事な考察をしている。それも解説的ではなく、極めて内省的かつ実践的に。
 
 

Body1 本作における音の魅力
冒頭のシーンを抜き出す。
音の対象は映らず、聴かせる演出。。そのイメージの広がりを体感する

「ようこそ映画音響の世界へ」から引用して、巨匠であればあるほど、音の重要さを知っている。

フォーリーアーティストは、その音の力で無限の世界を現出させる
 
 

Body2台湾映画の歴史を音から見る

日本との以外な関係…本番と言う言葉を使っている
台湾映画の生き字引のような存在である主人公
それ以外にも多くの人物が証言している。

吹替だった時代。。。それは未熟な時代だったか。。。そうではない、それにはそれの魅力があった。

台湾ニューウェイブ・・・リアリズムを導入。大きく変化していく音の作業
求められる音が変わった。
音の発展を通して台湾映画の発展の歴史を俯瞰している。
 
 
Body3 音の職人は去る、だが音の重要性は残り続ける
1人のアーティストの終わりとデジタル新時代の到来。
勃興する中国本土の映画。

近年の映画音響。。。サラウンドの進化、配信では味わえない魅力を生み出すのは音、
その音がいかに作られているのかを知ることは、映画の見方を一段と豊かにするだろう。

 
 
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 構成はシンプルです。柱は音の魅力と重要性、もう一つは台湾映画の歴史的側面にスポットを当てて映画を紹介するという感じ。巷でたくさん言及されるタイプの作品じゃないので、まずは基本的な部分を抑えることが大切と考えました。有名映画とそうでない映画で、このあたり、アプローチ変えることがあります。

 本作については、ワン・ワンロー監督にインタビューもしました。こちらも合わせてお読みください。
https://hotakasugi-jp.com/2022/11/23/movie-interview-a-foley-artist/ 
 
 
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